Skip to content Skip to footer

キケロの共和国についての対極

## キケロの共和国についての対極

###

マキアヴェリの『君主論』

キケロの『国家論』が理想的な共和制と徳の高い政治家を論じたのに対し、マキアヴェリの『君主論』は、現実主義的な権力論であり、君主が権力を獲得し、維持するために必要な手段を冷徹に分析しています。

###

対比される2つの書

**1. 政治体制:**

* **『国家論』:** キケロは、君主制、貴族制、民主制の長所を併せ持つ混合政体を理想的な政治体制だと考えました。彼は、ローマ共和制こそが、この混合政体の最も優れた形態であると主張しました。
* **『君主論』:** マキアヴェリは、君主制に焦点を当て、共和制については深く論じていません。彼は、君主が権力を維持するためには、あらゆる手段を講じることが許されると考えました。

**2. 徳と倫理:**

* **『国家論』:** キケロは、政治家は高い道徳と倫理観を持つべきだと主張しました。彼は、政治家は公共の利益のために尽くし、正義、知恵、勇気などの徳を体現するべきだと考えました。
* **『君主論』:** マキアヴェリは、政治においては、倫理よりも効果が重要であると考えました。彼は、君主は時には、嘘をついたり、裏切ったり、残虐な行為に訴えなければならない場合もあると主張しました。

**3. 政治観:**

* **『国家論』:** キケロは、政治を、人々を幸福に導くための高貴な営みだと考えました。彼は、政治家は、市民の福祉のために尽くし、調和のとれた社会を築くべきだと主張しました。
* **『君主論』:** マキアヴェリは、政治を、権力闘争の場だと考えました。彼は、政治家は、常に権力を維持することに腐心し、敵対勢力を排除するためにあらゆる手段を講じるべきだと主張しました。

###

歴史的背景

* **『国家論』:** キケロは、共和制ローマが内乱によって崩壊しつつある時代に、『国家論』を執筆しました。彼は、共和制の理想と徳の政治を訴えることで、ローマを危機から救おうとしたのです。
* **『君主論』:** マキアヴェリは、イタリアが分裂し、外国勢力に翻弄されていた時代に、『君主論』を執筆しました。彼は、強力な君主による統一イタリアの実現を夢見て、現実的な政治論を展開したのです。

これらの違いは、両者が置かれた時代背景や、彼らが目指した政治的理想の違いを反映しています。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5