## モームの月と六ペンスの対極
###
モームの月と六ペンス
「月と六ペンス」は、イギリスの作家サマセット・モームによって1919年に発表された小説です。物語は、突然家族を捨てて画家を目指し始めた株式仲買人チャールズ・ストリックランドの生涯を追います。ストリックランドは、物質的な豊かさや社会的地位よりも、芸術的探求を優先する人物として描かれています。彼は、周囲の人々に苦痛を与えながらも、自分の内なる衝動に忠実に従い、妥協することなく芸術を追求します。
###
対極に位置する作品：トルストイの「アンナ・カレーニナ」
「アンナ・カレーニナ」は、ロシアの作家レフ・トルストイによって1877年に発表された小説です。物語は、社交界の花形であるアンナ・カレーニナが、若き将校ヴロンスキーと許されぬ恋に落ちる様子を描いています。アンナは、社会的な規範と、ヴロンスキーへの愛の間で苦悩し、最終的には悲劇的な結末を迎えます。
###
両作品の対比：芸術と社会
「月と六ペンス」と「アンナ・カレーニナ」は、どちらも人間の欲望と社会規範の対立を描いた作品として捉えることができます。しかし、両作品は、その対立を異なる角度から描いています。
「月と六ペンス」は、芸術家の視点から、社会規範を無視してでも芸術を追求することの重要性を描いています。ストリックランドは、社会的な成功や物質的な豊かさよりも、自分の芸術的才能を表現することを優先します。
一方、「アンナ・カレーニナ」は、社会的な視点から、社会規範から逸脱することの危険性を描いています。アンナは、ヴロンスキーとの恋によって、社会的地位や家族を失い、最終的には破滅へと追い込まれます。
###
対比：個人の自由と責任
また、両作品は、個人の自由と責任についても異なる視点から描いています。
「月と六ペンス」は、個人の自由を最大限に尊重する作品です。ストリックランドは、周囲の人々に苦痛を与えても、自分の芸術的探求を優先します。彼は、自分の行動によって生じる結果に責任を負うことを拒否します。
一方、「アンナ・カレーニナ」は、個人の自由には責任が伴うことを強調する作品です。アンナは、ヴロンスキーとの恋という自由を選択した結果、その選択によって生じる結果に苦しめられることになります。