## ベルンハイムの催眠術の理論と実際の関連著作
**Franz Anton Mesmer の業績**
Franz Anton Mesmer (1734-1815) は、”動物磁気” という概念を提唱し、催眠現象に大きな影響を与えた人物です。彼は、人間の身体には磁力のようなものが流れており、それが乱れることで病気になると考えました。そして、磁石や手かざしを用いてこの流れを整えることで治療ができると主張しました。
Mesmer の理論は、当時の科学界からは受け入れられず、大きな論争を巻き起こしました。しかし、彼の治療法は多くの患者に効果があるとされ、ヨーロッパ中に広まりました。
Mesmer の業績は、後の催眠研究に大きな影響を与えました。特に、彼の提唱した “暗示” の概念は、後の催眠誘導技術の基礎となりました。彼の著作としては以下が挙げられます。
* **”De planetarum influxu in corpus humanum” (1766)** : メスメルの学位論文であり、惑星の影響が人体に及ぼす影響について論じています。この論文では、後に「動物磁気」として知られるようになる概念の萌芽を見ることができます。
* **”Mémoire sur la découverte du magnétisme animal” (1779)** : 動物磁気の理論を初めて体系的に解説した著作。メスメル自身の治療経験や、動物磁気の原理、治療法などが詳細に記されています。
* **”Précis historique des faits relatifs au magnétisme animal” (1781)** : 動物磁気を巡る論争や、メスメル自身の治療活動に対する反論などについて書かれた著作。メスメルは、この著作の中で自らの理論の正当性を主張しました。
これらの著作は、現代語訳も出版されており、メスメル自身の言葉で彼の理論に触れることができます。
**James Braid の業績**
James Braid (1795-1860) は、スコットランドの外科医で、”催眠術” という言葉を初めて用いた人物として知られています。彼は、Mesmer の動物磁気説には否定的でしたが、催眠現象自体には強い関心を持ちました。
Braid は、催眠状態は被験者の集中力によって引き起こされるものであり、術者の特別な能力によるものではないと考えました。彼は、催眠現象を科学的に解明しようと努め、眼性固定による催眠誘導法などを開発しました。また、催眠術の医療への応用にも取り組み、疼痛緩和などを目的とした治療を行いました。
彼の主要な著作である “Neurypnology” (1843) は、催眠現象に関する重要な研究として、現代の催眠研究にも影響を与えています。
Braid の業績は、催眠術を神秘主義から科学の領域へと導く上で大きな役割を果たしました。彼の研究は、現代の催眠療法の基礎を築き、催眠現象に対する科学的な理解を大きく前進させました。
これらの歴史的名著は、ベルンハイムの催眠術の理論と実際を理解する上で重要な背景を提供しています。メスメルやブレイドの業績は、ベルンハイム自身の研究にも影響を与え、現代の催眠療法の発展に繋がっています。