プラトンの国家の関連著作
アリストテレス 「政治学」
アリストテレスの「政治学」は、プラトンの「国家」と並んで、西洋政治思想の古典として位置づけられる著作です。プラトンの弟子であったアリストテレスは、師の思想を批判的に継承しつつ、独自の政治理論を展開しました。「国家」が理想国家を理念的に提示したのに対し、「政治学」は、現実の政治体制を分析し、より現実的な政治のあり方を追求した点に特徴があります。
アリストテレスは、人間を「ポリス的動物」と定義し、政治的共同体であるポリスで生活することが人間の自然本性であるとしました。そして、様々な政治体制を比較検討し、君主政、貴族政、共和政を正しい形態としつつも、それぞれが堕落した形態になりうることを指摘しました。
トマス・モア 「ユートピア」
トマス・モアの「ユートピア」は、16世紀のルネサンス期に書かれた作品で、プラトンの「国家」の影響を強く受けています。ギリシャ語で「どこにもない場所」を意味する「ユートピア」という言葉を生み出したこの作品は、架空の理想社会を描写することで、当時のヨーロッパ社会を批判しました。
「ユートピア」では、私有財産制が否定され、共有制に基づく平等社会が実現しています。また、労働は義務とされ、人々は皆が平等に労働に従事します。宗教的寛容、教育の重視など、現代にも通じる理想が語られていますが、一方で、奴隷制の存在や厳格な統制社会といった側面も描かれています。
ジョン・ロック 「統治二論」
ジョン・ロックの「統治二論」は、17世紀後半のイギリスで書かれた政治思想書で、近代市民社会の基礎を築いた重要な著作として知られています。ロックは、自然状態における人間の権利として、生命、自由、財産の三つを挙げ、国家はこれらの自然権を保障するために存在するとしました。
「国家」における哲人王による統治とは異なり、ロックは人民主権を唱え、国民が政府に対して抵抗する権利を認めました。これは、後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも影響を与え、近代立憲主義の思想的基盤となりました。