## シェイクスピアのリチャード二世の関連著作
Raphael Holinshedの年代記（Holinshed’s Chronicles）
シェイクスピアは歴史劇の題材をしばしばラファエル・ホリンシェッドの年代記から引用しており、「リチャード二世」も例外ではありません。1577年に初めて出版された「イングランド、スコットランド、アイルランドの年代記」は、シェイクスピアを含む当時の劇作家に人気の情報源でした。
ホリンシェッドの年代記は、リチャード二世の治世、その性格の弱点、ボリングブルック（後のヘンリー四世）との対立、そして最終的な没落に関する包括的な記述を提供しています。シェイクスピアは、ホリンシェッドの記述から多くの出来事、登場人物、対話を劇に巧みに取り入れました。ただし、シェイクスピアは登場人物や出来事を脚色して、劇的な効果を高めていることに注意することが重要です。たとえば、ホリンシェッドはリチャードが退位させられた後、ポンティフラクト城で殺害されたことを示唆していますが、シェイクスピアは劇的なクライマックスのために、殺害の様子を舞台上で描いています。
サミュエル・ダニエルの「イングランドの内戦」（The Civil Wars Between the Two Houses of Lancaster and York by Samuel Daniel）
1595年に最初に出版されたサミュエル・ダニエルの詩による歴史、「イングランドの内戦」も、シェイクスピアの「リチャード二世」に影響を与えた可能性があります。この詩は、ランカスター家とヨーク家の間の薔薇戦争に至る出来事、特にリチャード二世の治世と没落に焦点を当てています。
ダニエルの詩は、ホリンシェッドの年代記よりも、リチャードの性格とボリングブルックとの関係をより同情的に描写しているところが異なります。ダニエルは、リチャードを運命の被害者であり、野心的なボリングブルックに利用された悲劇的な人物として描いています。この解釈は、シェイクスピアが劇中で展開した複雑で多面的なリチャードの人物像に影響を与えた可能性があります。