ロンブローゾの犯罪人の案内

ロンブローゾ(1835-1909)はイタリアの精神科医であり、犯罪人類学の創始者として知られています。彼は人間の行動、特に犯罪行動は、生物学的要因、特に遺伝によって大きく決定されると信じていました。

ロンブローゾは、1876年に出版された著書「犯罪人uomo delinquente」の中で、「生まれながらの犯罪者」という概念を提唱しました。彼は、生まれながらの犯罪者は、原始人の特徴である特定の身体的特徴（「返祖現象」）を持つと主張しました。

ロンブローゾが挙げた身体的特徴には、次のようなものがあります。

* 大きな顎
* 低い傾斜した額
* 耳介の奇形
* 長い腕
* 曲がった鼻
* 余分な指や足の指
* 感覚の鈍感さ
* 入れ墨
* 左利き

ロンブローゾは、刑務所の囚人、兵士、精神病患者など、数千人の人々の頭蓋骨や身体的特徴を測定し、比較しました。彼は、統計的手法を用いて、犯罪者と非犯罪者の間の身体的差異を分析しました。

ロンブローゾの理論は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて大きな影響力を持っていました。彼の考えは、犯罪者の特定、矯正、さらには排除を正当化するために利用されました。

ロンブローゾの理論は、現代の科学的基準から見ると、多くの点で問題があるとされています。

* 彼の研究方法は、偏ったサンプルに基づいており、適切な対照群が設定されていませんでした。
* 彼は、身体的特徴と犯罪行為との間に因果関係があることを証明することができませんでした。
* 彼の理論は、人種差別や社会的不平等を正当化するために利用される可能性がありました。

ロンブローゾの理論は、現代の犯罪学では完全に否定されています。しかし、彼の業績は、犯罪行動の生物学的要因への関心を高め、犯罪学の発展に一定の貢献をしたと評価されています。