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グロチウスの自由海論の案内

## グロチウスの自由海論の案内

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1. 緒論

ヒューホー・グロチウス(1583-1645)は、オランダの法学者、哲学者、神学者であり、「国際法の父」として広く知られています。彼の代表作『戦争と平和の法』(De Jure Belli ac Pacis, 1625)は、近代国際法の基礎を築いた monumental な著作として位置づけられています。

グロチウスは、『戦争と平和の法』の中で、自然法の思想に基づき、国家間の戦争や平和を律する普遍的な法の体系を構築しようと試みました。彼の理論は、当時のヨーロッパ社会に大きな影響を与え、国際関係のあり方を大きく変えるきっかけとなりました。

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2. 自由海論の背景

17世紀初頭、ヨーロッパ諸国は大航海時代を経て、海外進出と植民地支配を積極的に進めていました。ポルトガルやスペインは、新航路の発見を契機に、広大な海域や領土を自国の支配下に置こうとしました。

このような状況下で、グロチウスは1609年に『自由海論』(Mare Liberum)を著しました。この書は、ポルトガルが主張した「海の閉鎖」政策に対抗し、「海洋は万人に共通の財産であり、いかなる国家もその自由な航行や利用を制限することはできない」という「海の自由」原則を力強く主張した画期的なものでした。

『自由海論』は、当初は匿名で発表されましたが、その革新的な内容から大きな反響を呼び、国際法、政治思想、経済活動など、様々な分野に多大な影響を与えることになりました。

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3. 自由海論の内容

『自由海論』は、全12章から構成され、以下の3つの主要な論点を展開しています。

1. **海の性質**: グロチウスは、海は陸地とは異なり、その性質上、占有することができないと主張します。海は広大で、境界を引くことが困難であり、また、水が常に流動しているため、特定の国家が排他的に支配することは不可能であると論じました。
2. **自然法と国際法**: グロチウスは、自然法の概念を基に、「海の自由」は神によって人類に与えられた普遍的な権利であると主張しました。彼は、国際法は自然法に基づくべきであり、いかなる国家も、自然法に反して「海の自由」を制限することはできないとしました。
3. **自由航行と通商の自由**: グロチウスは、「海の自由」は、全ての国家に認められるべき自由航行と通商の自由を含むと主張しました。彼は、国際社会の平和と繁栄のためには、国家間の自由な交易活動が不可欠であると考え、海洋における自由な経済活動を保障することの重要性を強調しました。

グロチウスの『自由海論』は、その後の国際法の発展に多大な影響を与え、「海の自由」原則は、1982年の国連海洋法条約など、現代の国際法にも受け継がれています。

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