## フローベールのサランボーの案内
サランボーとは
サランボーは、ギュスターヴ・フローベールによる歴史小説です。1862年に出版され、古代カルタゴを舞台に、傭兵隊長の娘サランボーと、傭兵マートの許されぬ恋を描いています。
舞台と時代背景
舞台は紀紀元前3世紀のカルタゴ。第一次ポエニ戦争後、カルタゴはローマに敗北し、莫大な賠償金を負わされていました。その上、戦争で活躍した傭兵たちに給料を支払うことができず、傭兵たちは反乱を起こします。 これが「傭兵戦争」として知られています。
登場人物
* **サランボー**: カルタゴの最高神官ハミルカルの娘。 美しく、神秘的な雰囲気を持つ。
* **マート**: 蛮族の出身でありながら、類まれな勇敢さと知性を持つ傭兵隊長。
* **ハミルカル**: カルタゴの最高神官であり、サランボーの父。冷酷で計算的な人物。
* **ナラボ**: カルタゴの富豪。狡猾で陰湿な性格。
* **スファクス**: ヌミディアの王。サランボーに求婚する。
物語
第一次ポエニ戦争後、カルタゴは傭兵たちに給料を支払うことができず、傭兵たちは反乱を起こします。傭兵たちのリーダー格であるマートは、カルタゴに戦いを挑みます。
そのさなか、マートとサランボーは運命的な出会いを果たし、互いに惹かれ合っていきます。しかし、二人の間には民族や身分の違いがあり、恋は禁断とされます。
特徴
* **史実と虚構の融合**: フローベールは、歴史書や考古学資料を綿密に調査し、当時のカルタゴをリアルに描写しました。その一方で、サランボーやマートなど、架空の人物や物語を創造し、歴史的事実と虚構を巧みに織り交ぜています。
* **官能的な描写**: 本作は、その官能的な描写で物議を醸しました。特に、サランボーの美しさや、彼女とマートの恋は、官能的な筆致で描かれています。
* **異文化間の対立と葛藤**: カルタゴ人と傭兵たちの間には、文化や宗教の違いから生じる深い溝が描かれています。サランボーとマートの恋は、そうした異文化間の対立と葛藤を象徴するものとなっています。
影響
「サランボー」は、出版当時から大きな反響を呼び、エミール・ゾラやギイ・ド・モーパッサンなど、多くの作家に影響を与えました。また、オペラや映画など、様々な芸術作品にも翻案されています。