ドストエフスキーの貧しき人びとの案内
ドストエフスキーの処女作
1846年に発表された『貧しき人びと』は、フョードル・ドストエフスキーの処女作にあたる epistolary novel (書簡体小説)です。
あらすじ
物語の舞台は1840年代のサンクトペテルブルク。貧しい下級官吏マカール・ジェーヴチキンと、彼と同じアパートに住む孤児の少女ヴァルヴァーラ・ドブロセーロワが、日々の生活の苦労や社会の不条理、ささやかな喜びなどを手紙を通して語り合います。
登場人物
* **マカール・ジェーヴチキン:** 物語の主人公。内気で心優しい中年男性。貧しいながらもヴァルヴァーラを助けようとする。
* **ヴァルヴァーラ・ドブロセーロワ:** 両親を亡くし、親戚から冷遇されている孤児の少女。聡明で心優しく、過酷な運命にも負けずに懸命に生きる。
* **アンナ・フョードロヴナ:** ヴァルヴァーラの後見人を務める裕福な未亡人。冷酷で傲慢な性格。
* **ブィコフ:** ヴァルヴァーラに言い寄る裕福で傲慢な老人。
テーマ
* **貧困と社会的不平等:** 作品は、当時のロシア社会における貧困層の過酷な生活状況や、社会的不平等を克明に描いています。
* **愛と犠牲:** マカールとヴァルヴァーラは、互いに支え合うことで過酷な現実を生き抜こうとします。
* **人間性の尊厳:** 貧しいながらも、登場人物たちはそれぞれの人間としての尊厳を守ろうとします。
文体
* **書簡体小説:** 登場人物たちの書簡を通して物語が進行します。
* **自然主義文学の影響:** 貧しい人々の生活をありのままに描いています。
* **心理描写の巧みさ:** 登場人物たちの心の動きが繊細に描写されています。
反響と評価
* 当時の文壇から高い評価を受け、ドストエフスキーは一躍有名になりました。
* 文芸評論家ヴィッサリオン・ベリンスキーは、「新しいゴーゴリの出現」と絶賛しました。
* その後も多くの読者に愛され続け、ドストエフスキーの代表作の一つに数えられています。