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ルクセンブルグの資本蓄積論の周辺

ルクセンブルグの資本蓄積論の周辺

ローザ・ルクセンブルクと資本蓄積論

ローザ・ルクセンブルク(1871-1919)は、ポーランド出身のマルクス主義革命家、経済学者、哲学者です。彼女は、カール・マルクスの資本論を深く研究し、独自の視点から資本主義の矛盾と帝国主義の必然性を分析しました。その代表作が1913年に出版された『資本蓄積論』です。

資本蓄積論の中心的な主張

ルクセンブルクは『資本蓄積論』において、資本主義が内包する矛盾として、 **実現問題** を取り上げました。マルクスの再生産表式論を批判的に継承し、資本主義経済が拡大再生産を継続するためには、資本家階級以外の購買層が必要であると主張しました。

マルクスは、資本主義経済が発展するためには、労働者階級の消費と資本家階級による生産手段への再投資によって、生産された剰余価値が実現されなければならないと論じました。しかしルクセンブルクは、このメカニズムだけでは十分ではなく、資本主義経済の外側に存在する非資本主義的な経済領域が、剰余価値の実現にとって不可欠であると主張しました。

非資本主義経済領域の重要性

ルクセンブルクによれば、非資本主義経済領域は、資本主義経済にとって、以下の2つの点で重要です。

1. **新たな市場の提供**: 資本主義経済は、常に拡大を続けなければなりませんが、その市場は有限です。そこで、非資本主義経済領域を新たな市場として取り込むことで、剰余価値の実現を可能にします。
2. **低廉な労働力と資源の供給**: 非資本主義経済領域から、低賃金の労働力や安価な原材料を調達することで、資本家階級は利潤率を維持し、さらなる蓄積を図ることができます。

帝国主義への批判

ルクセンブルクは、資本主義が非資本主義経済領域を従属させるプロセスを **帝国主義** と捉えました。彼女は、帝国主義は資本主義発展の必然的な帰結であり、資本主義経済が内包する矛盾を一時的に解決するための手段であると論じました。

資本蓄積論に対する批判

ルクセンブルクの『資本蓄積論』は、出版当時から様々な批判を受けました。主な批判点は、以下のとおりです。

* **実現問題の過大評価**: マルクス経済学の立場から、ルクセンブルクは実現問題を過大評価しており、資本主義経済は内部矛盾だけで崩壊すると反論されました。
* **非資本主義経済領域の役割の過大視**: 資本主義経済の発展は、必ずしも非資本主義経済領域への依存によってのみ可能になるわけではないという批判があります。
* **帝国主義の解釈**: 帝国主義の原因を経済的な要因のみに還元することへの批判や、政治的・軍事的要因を軽視しているという指摘があります。

資本蓄積論の影響

『資本蓄積論』は、出版後、社会主義運動や植民地解放運動に大きな影響を与えました。特に、帝国主義に対する批判は、後の従属理論や世界システム論の先駆となりました. また、現代のグローバリゼーションや新興国の台頭といった現象を分析する上でも、示唆に富む視点を提供しています。

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