## バタイユのニーチェについて
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影響関係
ジョルジュ・バタイユは、20世紀フランス思想を代表する思想家の一人であり、その思想はニーチェの影響を強く受けています。バタイユはニーチェを、カント以降の西洋形而上学を転覆した最初の思想家として高く評価し、その思想を自身の思想の出発点としました。
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バタイユがニーチェから受けた具体的な影響
バタイユはニーチェから、以下のような具体的な影響を受けたとされています。
* **神は死んだ**というテーゼ。バタイユはニーチェと同様に、近代合理主義によって神がその権威を失墜したことを認め、そこから生じるニヒリズム的問題に取り組みました。
* **力への意志**の概念。バタイユはニーチェの力への意志を、生そのものの力、超越的な力として解釈し、自身の思想の中核に据えました。
* **主体的理性への批判**。バタイユはニーチェの影響を受け、人間存在を規定するものは理性ではなく、むしろ理性では捉えきれない非合理的な力であると主張しました。
* **ディオニソス的なもの**の肯定。バタイユはニーチェと同様に、アポロン的な秩序や理性よりも、ディオニソス的な陶酔や過剰を重視しました。
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バタイユによるニーチェ解釈の特徴
バタイユはニーチェの思想をそのまま受け継いだのではなく、独自の解釈を加えています。その特徴としては、以下の点が挙げられます。
* **エロスと死の結合への着目**: バタイユは、ニーチェにおいては暗黙的に示唆されているに過ぎなかった、エロスと死の結合というテーマを前面に押し出しました。
* **社会学的視点の導入**: バタイユはニーチェの思想を、個人を超えた社会的なレベルへと拡張し、消費や贈与といった社会現象の中にディオニソス的な過剰の論理を見出そうとしました。
* **ヘーゲル弁証法の影響**: バタイユはニーチェを解釈する際に、ヘーゲル弁証法の影響を受けており、有限性と無限性、否定性と肯定性といった対立概念を用いてニーチェの思想を体系化しようとしました。
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バタイユのニーチェ解釈に対する批判
バタイユのニーチェ解釈は、一部の研究者から、ニーチェを自己流に解釈しすぎているという批判を受けています。特に、ニーチェを単なる非合理主義者、あるいは虚無主義者として捉えているという点が問題視されています。