## ダンテの煉獄篇の周辺
ダンテの煉獄篇の概要
『煉獄篇』は、ダンテ・アリギエーリの叙事詩『神曲』の第二部にあたります。全33歌で構成され、前編『地獄篇』で地獄を脱出したダンテが、地上へと続く煉獄山の登攀を通して魂の浄化を遂げる過程を描いています。
煉獄山の構造
煉獄山は南半球に存在するとされ、頂上には地上の楽園（地上楽園）が広がっています。山は7つの段丘に分かれており、各段丘では七つの大罪（傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲）に対応する苦行が行われています。山麓には悔恨の段があり、煉獄に来たることを拒否した魂や、悔悛の決意をするのが遅すぎたために煉獄に入れなかった魂が留まっています。
登場人物
* **ダンテ**: 主人公であり語り手。ローマ詩人ウェルギリウスに導かれ、煉獄山を登ります。
* **ウェルギリウス**: ダンテの案内役を務める古代ローマの詩人。理性の象徴であり、ダンテを地上楽園の入り口まで導きます。
* **ベアトリーチェ**: ダンテが生涯敬愛した女性。天国から遣わされ、地上楽園以降の案内役となります。
主題
『煉獄篇』の主要なテーマには、罪の償いと魂の浄化、神の愛と慈悲、自由意志と運命などがあります。ダンテは、煉獄における魂たちの苦行と救済の過程を通して、人間の罪深さと神の愛の深遠さを対比的に描いています。
歴史的背景
『神曲』は14世紀初頭に書かれました。当時のイタリアは、教皇派（ゲルフ）と皇帝派（ギベリン）の対立が激化し、ダンテ自身もフィレンツェの政争に巻き込まれ、亡命生活を送っていました。『煉獄篇』には、当時の政治や社会に対するダンテの批判的なまなざしが反映されているとされています。