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ボルヘスのバベルの図書館の力

ボルヘスのバベルの図書館の力

図書館の構造がもたらす無限の可能性と不確かさ

ボルヘスの「バベルの図書館」では、六角形の部屋が無限に続く図書館が舞台となっています。 各部屋には、あらゆる可能な文字の組み合わせで構成された書物が収められています。 この構造は、以下の二つの対照的な側面を浮き彫りにします。

まず、図書館は**無限の可能性**を象徴しています。あらゆる組み合わせの書物が存在するということは、どんな知識も、どんな物語も、図書館のどこかに存在するということです。これは、人間の想像力の限界を超越した、まさに「全能」とも言える可能性を秘めています。

一方で、無限の可能性は同時に**完全な不確かさ**をもたらします。読者は、目的の書物にたどり着ける保証はなく、無数の無意味な文字列の中に埋もれてしまう可能性もあります。この不確かさは、知識へのアクセスが困難であるばかりか、真実と虚偽の区別すら曖昧にするという、不安感を抱かせます。

書物への執着と狂気

図書館の住人たちは、書物に意味を見出そうと、生涯をかけて探索を続けます。 この執着は、以下の点において、重要な意味を持ちます。

まず、**知識への飽くなき渇望**は、人間の本質的な欲求の一つであることを示唆しています。図書館の住人たちは、たとえそれが無益な努力に終わる可能性が高いことを知っていても、真実を求め続けることをやめられません。

しかし、その一方で、書物への執着は**狂気**を生み出す原因ともなります。無限の書物の中で、意味を見出せないことへの絶望、あるいは、偽りの知識に惑わされることから、住人たちは正気を失っていく様子が描かれています。

宇宙のメタファーとしての図書館

「バベルの図書館」は、単なる巨大な図書館ではなく、**宇宙そのもの**を象徴しているとも解釈できます。無限の書物は、宇宙に存在するあらゆる物質やエネルギー、そして、起こりうる全ての出来事を表していると考えられます。

この解釈に立つと、図書館の住人たちは、広大で複雑な宇宙を理解しようと試みる、私たち人間自身の姿と重なってきます。私たちは、限られた知識と経験をもとに、宇宙の謎を解き明かそうと努力していますが、真実にたどり着けるという保証はどこにもありません。

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