## バークのフランス革命の省察の原点
バークとフランス革命
エドマンド・バークは、1729年アイルランド生まれのイギリスの政治家、政治哲学者であり、「保守主義の父」とも呼ばれています。彼は、アメリカ独立革命に対しては植民地の自治を支持する立場でしたが、フランス革命に対しては、その急進的な思想と暴力性を激しく批判しました。
「省察」執筆のきっかけ
バークが「フランス革命の省察」を執筆する直接的なきっかけとなったのは、1789年11月にフランス人聖職者リチャード・プライスがイギリス革命協会で行った説教「時局における非国民への一考察」でした。プライスは、フランス革命をイギリス革命の延長線上に位置づけ、フランス国民の権利宣言を称賛し、イギリスにおいても同様の改革を進めるべきだと主張しました。
バークの反論
プライスの説教は、イギリス国内の革命支持派から熱狂的に支持されました。しかし、バークはこの説教に強い危機感を抱き、直ちに反論を執筆することを決意します。バークは、プライスの歴史認識と政治思想の両面を批判し、フランス革命をイギリス革命とは全く異なるものとして捉えました。彼は、フランス革命が伝統、宗教、道徳を破壊する危険なものであると警告し、イギリスがフランス革命の誤りを繰り返さないよう訴えました。
「省察」の内容
「フランス革命の省察」は、1790年11月に匿名で出版されました。この著作は、フランス革命に対する痛烈な批判であると同時に、バークの政治思想のエッセンスを凝縮したものでもあります。彼は、伝統と経験の重視、人間の理性に対する懐疑、急進的な改革への反対などを主張し、後の保守主義思想に大きな影響を与えました。