## シェイエスの第三身分とは何かの原点
フランス革命期の社会構造
18世紀後半のフランスは、絶対王政のもと、身分制社会と呼ばれる厳格な社会階層が存在していました。
国民は、
* **第一身分**: 聖職者
* **第二身分**: 貴族
* **第三身分**: それ以外の民衆
の３つに分けられ、それぞれの身分に応じて異なる権利と義務を負っていました。
第三身分の負担
第一身分と第二身分は特権階級として、税の免除や政治への参政権など、様々な優遇を受けていました。
一方で、人口の大多数を占める第三身分は、税負担や封建的な義務を負い、政治にもほとんど関与できませんでした。
農民、商人、職人、弁護士、医者など、社会を支える役割を担いながらも、不平等な扱いを受けていたのです。
啓蒙思想の普及
18世紀のヨーロッパでは、理性や経験に基づいて社会や政治を捉え直そうとする啓蒙思想が広まりました。
フランスでは、モンテスキューの三権分立論やルソーの社会契約論などが、知識人や一部の貴族の間で読まれ、議論の的となりました。
これらの思想は、人間の自由や平等、国民主権といった概念を人々に提示し、旧来の身分制度や絶対王政に対する疑問を投げかけました。
経済の行き詰まり
18世紀後半、フランスは深刻な財政難に陥っていました。
度重なる戦争や王室の浪費が財政を圧迫し、国家は破産寸前に追い込まれていました。
経済状況の悪化は、国民生活を直撃し、特に税負担の重い第三身分の不満を深刻化させました。
三部会招集とシェイエスの登場
財政危機を打開するため、1788年、ルイ16世は1614年以来、175年ぶりに三部会を招集しました。
三部会とは、各身分の代表者が集まり、政治や財政について議論する会議です。
第三身分は、自分たちの意見を反映させるために、身分別ではなく、人数比例での議決方式を要求しました。
このような中、聖職者でありながら第三身分の立場を代弁したのが、エマニュエル・ジョセフ・シェイエス（1748-1836）でした。