## レーニンの国家と革命を読む
レーニンの主張
ウラジーミル・レーニンの『国家と革命』は、1917年のロシア革命直前に書かれた、マルクス主義国家論の古典とされる著作です。レーニンは本書において、国家の本質、プロレタリア革命における国家の役割、そして共産主義社会における国家の消滅といったテーマについて、詳細に論じています。
国家の本質：ブルジョアジーの道具
レーニンは、マルクスの思想に基づき、国家を階級闘争の産物として捉えます。彼によれば、国家は、社会の経済的支配階級であるブルジョアジーが、自らの利益を守るために、プロレタリアートを支配するための道具として生み出されたものです。
レーニンは、一見中立的な存在に見える国家機関（軍隊、警察、官僚機構、司法など）も、実際にはブルジョアジーの階級的利益を守るために機能していると主張します。
プロレタリア革命と国家の役割
レーニンは、プロレタリア革命において、国家が重要な役割を果たすと考えます。レーニンの主張するプロレタリア革命は、単なる政権の交代ではなく、ブルジョアジーによる支配の体制を根本から破壊し、プロレタリアートの独裁を確立することを目標としています。
レーニンは、プロレタリアートが革命によって国家権力を掌握した後、「ブルジョアジーを粉砕するための特別な力」として、国家を利用する必要があると主張します。この「プロレタリアートの国家」は、ブルジョアジーの抵抗を排除し、社会主義社会への移行を指導する役割を担います。
国家の消滅：共産主義社会の実現
レーニンは、最終的に国家は消滅すると考えています。これは、共産主義社会が実現し、階級が消滅することで、国家の存在理由がなくなるためです。
レーニンは、共産主義社会では、人々が「各自の能力に応じて働き、各自の必要に応じて受け取る」ようになり、国家による強制や統制は不要になると構想します。