カーライルのフランス革命史を読む
歴史書としてのフランス革命史
トーマス・カーライルの『フランス革命史』は、1837年に初めて出版された歴史書です。フランス革命の混沌とした出来事や熱狂、暴力、そして変革を、文学的な筆致で鮮やかに描写した作品として知られています。
カーライルの視点と特徴的な文体
カーライルは、歴史は英雄的な人物の行為によって形作られるという信念を持っていました。そのため、『フランス革命史』では、ミラボー、ダントン、ロベスピエールといった革命指導者たちの個性を強調し、彼らの葛藤や成功、そして失敗を通して革命の展開を描いています。
また、カーライルは独特の文体を用いています。聖書の影響を受けた壮大な表現、頻繁な感嘆符の使用、そして読者に語りかけるような筆致は、読者を革命の渦中に引き込むような効果を生み出しています。
歴史的評価と影響
『フランス革命史』は出版当時から大きな反響を呼び、歴史書としてだけでなく、文学作品としても高い評価を受けました。ディケンズやサッカレーといった当時の作家たちに影響を与えただけでなく、現代でも広く読まれています。
ただし、カーライルの歴史観や史料解釈には批判もあります。英雄史観に基づいた人物描写は、歴史の複雑な要因を過度に単純化しているという指摘もありますし、感情的な文体は客観性に欠けるとの見方もあります。
現代における意義
『フランス革命史』は、出版から200年近く経った現代においても、フランス革命を理解するための重要なテキストとして、そして歴史の捉え方について考察させてくれる作品として、読み継がれています。