サリンジャーのフラニーとズーイを読む

『フラニー』は、1955年に発表された短編小説で、大学生であるフラニー・グラースが週末にボーイフレンドのレーンとデート中に精神的に不安定になるまでを描いています。彼女はレーンの自己中心的で表面的な態度に幻滅し、人生の意味や宗教について深く考え始めます。

『ズーイ』は、1957年に発表された短編小説で、『フラニー』の続編にあたります。舞台はグラース家のニューヨークのアパートで、フラニーが精神的に不安定な状態から回復しようと葛藤する様子が描かれています。彼女は家族、特に兄のズーイに助けを求め、彼との長い会話を通じて、自身の苦悩の原因を探っていきます。

二つの物語は、自己認識、信仰、家族という共通のテーマを探求しています。フラニーとズーイは、グラース家の才能あふれる子供たちの中でも特に知的で精神的に繊細な二人であり、周囲の世界の偽善や浅薄さに苦悩しています。彼らは宗教や哲学に慰めを求めようとしますが、真の心の平安を見つけるまでには至りません。