## ルソーのエミールの技法
教育小説という形式
ルソーは『エミール』において、伝統的な哲学書とは異なる「教育小説」という形式を採用しています。これは架空の人物であるエミールと、その家庭教師の対話を中心に物語が展開されるという形式です。
この形式には、以下の様な利点があります。
* 抽象的な議論ではなく、具体的な教育場面を通して読者に考えさせることができる。
* 登場人物の成長や葛藤を通して、教育の複雑さや難しさを表現できる。
* 小説という親しみやすい形式を用いることで、より多くの人に教育について関心を持たせることができる。
自然に学ぶことの重要性を強調
ルソーは、子どもは自然状態においては善であり、自然に従って成長していくべきだと考えました。
そのため、エミールは都会から離れた自然豊かな環境で育てられ、自然を通して様々なことを学んでいきます。
例えば、植物の栽培を通して自然の法則や労働の尊さを学び、地理や天文学は実際に旅をしたり星を観察したりすることで理解を深めていきます。
ルソーは、机上の学習よりも、体験を通して学ぶことの重要性を強調しました。
否定的な教育
ルソーは、子どもに直接的な教訓を与えることを避け、子ども自身が経験を通して学ぶことを重視しました。
教師は、子どもの興味や関心に基づいて環境を整えたり、適切な問いを投げかけたりすることで、子ども自身の力で答えを見つけ出す手助けをします。
この様な教育方法を、ルソーは「否定的な教育」と呼びました。
段階的な教育
ルソーは、子どもの発達段階に合わせて教育内容を変えるべきだと考えました。
* **幼児期:** 感覚や感情を育むことに重点が置かれます。
* **児童期:** 身体能力の発達に合わせて、遊びや作業を通して学びます。
* **少年期:** 理性や判断力が育ち始める時期であり、歴史や文学などを通して人間社会について学んでいきます。
* **青年期:** 道徳心や社会性を育み、社会の一員としての責任を自覚していきます。