Skip to content Skip to footer

シェイクスピアのヘンリー四世 第一部の技法

## シェイクスピアのヘンリー四世 第一部の技法

###

対照

「ヘンリー四世 第一部」は、劇中の登場人物、場面、プロットを対比させることで、複雑な構成を成り立たせています。最も顕著な対比は、ハル王子とホットスパーという二人の若き反逆者の対比です。ハル王子は、放蕩な生活を送りながらも、やがては理想的な王となる人物として描かれているのに対し、ホットスパーは、名誉と栄光を重んじるあまり、衝動的で自己中心的な人物として描かれています。この対比は、ハル王子が劇の終盤でホットスパーを倒すことで、最高潮に達します。

劇中には、王宮と居酒屋という対照的な舞台が登場します。王宮は、政治的陰謀や権力闘争の場として描かれる一方で、居酒屋は、庶民の生活やユーモア、友情が描かれる場となっています。これらの対照的な舞台は、劇にリアリティと奥行きを与え、観客は登場人物たちの様々な側面を垣間見ることができます。

###

散文と韻文

シェイクスピアは、「ヘンリー四世 第一部」において、散文と韻文を巧みに使い分けています。韻文、特にブランクバース(無韻詩)は、王侯貴族の登場人物たちの台詞に多く用いられ、彼らの高貴な身分や格式を強調しています。一方、散文は、主にフォルスタッフや居酒屋の人々といった庶民の登場人物たちの台詞に用いられ、彼らの俗っぽさや親しみやすさを表現しています。ただし、シェイクスピアはこのような一般的な使い分けにとらわれず、場面や登場人物の心情に合わせて、散文と韻文を自在に使い分けています。例えば、ハル王子は、居酒屋では散文を話すこともありますが、王宮や戦場では韻文で話すことが多くなります。これは、彼が置かれた状況や相手によって、自分の言葉遣いを使い分けていることを示唆しています。

###

ユーモア

「ヘンリー四世 第一部」は、歴史劇でありながら、随所にユーモアがちりばめられています。特に、フォルスタッフとその仲間たちは、その滑稽な言動で観客を笑いの渦に巻き込みます。フォルスタッフのユーモアは、しばしば、言葉遊びや誇張、皮肉などを駆使したものですが、その一方で、権力や名誉といった社会の虚偽を鋭く風刺する一面も持ち合わせています。シェイクスピアは、ユーモアを用いることで、劇全体の雰囲気を明るくし、観客の感情移入を促すと同時に、社会に対する批評を織り交ぜているのです。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5