## ラ・メトリの人間機械論の話法
### 1. 比喩と類推による説明
ラ・メトリは、「人間機械論」の中で、人間を機械に喩えることで、当時の宗教観や伝統的な哲学に対抗し、唯物論的な立場から人間の身体と精神の働きを説明しようとしました。複雑な事柄を、当時の人々にとって身近になりつつあった時計などの機械に喩えることで、より分かりやすく説明しようとしたと考えられます。
### 2. 医学的知見に基づいた論証
ラ・メトリは医師としての経験と知識に基づき、人間の身体がさまざまな器官から構成され、それぞれの器官が特定の機能を果たすことで生命活動が維持されていることを詳細に説明しました。そして、身体の仕組みが機械の構造と類似していることを指摘し、心もまた身体の一部として機械的に機能していると主張しました。
### 3. 動物との比較
ラ・メトリは、人間と動物の行動を比較し、両者に根本的な違いがないことを示唆することで、人間も動物と同様に機械的な存在であるという主張を補強しました。動物の行動が本能に基づく自動的なものであるとすれば、人間もまた同様のメカニズムによって行動していると考えたのです。
### 4. 修辞技法の駆使
ラ・メトリは、読者の感情に訴えかけるために、様々な修辞技法を駆使しています。例えば、反語法を用いることで、伝統的な人間観に疑問を投げかけ、読者に再考を促しています。また、鋭い皮肉や風刺を交えることで、当時の社会や思想に対する批判を展開しました。
### 5. 仮説に基づく大胆な推論
ラ・メトリは、当時の科学技術では証明が困難な事柄についても、仮説を立てて大胆な推論を展開しました。例えば、思考や感情といった精神活動についても、脳内の物質的な運動によって引き起こされると考えました。これは、現代の神経科学の知見から見ても、一定の妥当性を持つ部分があります。