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グロチウスの自由海論の話法

## グロチウスの自由海論の話法

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論拠の提示と反駁

グロチウスは『自由海論』において、自説の正当性を主張するために、古代ローマ法、国際慣習法、自然法といった多様な論拠を駆使しています。彼はまず、あるべき論点(この場合は海の領有可能性)について、当時の支配的な見解や学説を紹介することから始めます。そして、それらの見解に対して、一つ一つ丁寧に反駁を加えていくという手法を取っています。

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ローマ法の援用と解釈

グロチウスは、古代ローマ法における海洋に関する記述を詳細に検討し、自説の根拠とします。彼は、ローマ法において海は共有物とされており、特定の国家が領有することは認められていなかったことを指摘します。しかし、グロチウスは単にローマ法の条文を引用するだけでなく、その歴史的背景や法解釈にも踏み込んで論じています。例えば、ローマ帝国が地中海の一部を領有していた事実については、それが単なる例外的な事例であり、海洋全体の領有を意味するものではないと説明しています。

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自然法と国際慣習法の活用

グロチウスは、自然法と国際慣習法も重要な論拠として用いています。彼は、海洋の自由航行は、国家間の自由な交易や交流を促進するために不可欠な要素であると主張し、それを自然法の原理に基づいて正当化しようと試みています。また、当時のヨーロッパ諸国における航海の慣習や条約を分析し、海洋の自由航行が国際慣習法としても認められるべきものであることを示唆しています。

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具体的な事例の提示

グロチウスは、抽象的な議論を展開するだけでなく、具体的な事例を挙げることで、読者の理解を深める工夫も凝らしています。例えば、ポルトガルによるインド航路の独占や、スペインによる新大陸領有宣言といった当時の国際的な事件を取り上げ、それらが海洋の自由という原則に反するものであると批判しています。

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修辞技法の駆使

グロチウスは、自説を効果的に伝えるために、様々な修辞技法を用いています。例えば、反語法や疑問文を用いることで、読者に問題提起を促したり、自説の正当性を強調したりしています。また、比喩や例示を用いることで、抽象的な概念を分かりやすく説明しています。

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