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モームの月と六ペンスの話法

## モームの月と六ペンスの話法

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一人称視点の語り手

「月と六ペンス」は、語り手である「私」が、ストリックランドという人物について語るという形式で物語が進行します。この「私」は作中では明確な名前は明らかにされず、読者はもっぱら彼の視点を通してストリックランドや周囲の人物、そして出来事を認識することになります。

一人称視点であるがゆえに、ストリックランドの心情や内面、思考の過程は直接的には語られません。読者はもっぱら彼の行動や発言、そして周囲の人物の証言などを通して、彼の内面を推測していくことになります。

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伝聞情報による構成

語り手である「私」は、ストリックランドと直接的に親しい関係ではありません。彼はストリックランドの妻や友人、知人などから話を聞き、それを元にストリックランドという人物像を構築していきます。

そのため、作中に描かれるストリックランドの言動やエピソードの多くは、語り手である「私」が直接目撃したものではなく、あくまでも伝聞情報に基づいています。このことは、読者がストリックランドという人物を客観的に捉えることを難しくすると同時に、多角的な視点から彼を考察する余地を残しています。

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客観的な語り口

語り手である「私」は、ストリックランドの奇想天外な行動や周囲の人間に対する非情さに対して、常に冷静かつ客観的な視点を保っています。彼はストリックランドを擁護することも、非難することもなく、淡々と事実を積み重ねていくような語り口を貫きます。

この客観的な語り口は、読者にストリックランドに対する一定の距離感を生み出す一方で、彼の芸術に対する純粋な情熱や人間性の複雑さを際立たせる効果も持ち合わせています。

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