ドストエフスキーの未成年の話法
特徴1：一人称告白体小説
『未成年』は、主人公であるアルカード・ドルジャヴィン自身の視点から語られる一人称告白体小説です。これは、読者がアルカードの思考や感情に直接触れることを可能にし、彼の内面世界を深く掘り下げる効果的な手法となっています。
特徴2：意識の流れの技法
ドストエフスキーは、『未成年』において、意識の流れの技法を駆使しています。アルカードの語りは、論理的であったり、時系列に沿っていたりするとは限りません。彼の思考は、連想ゲームのように、ある考えから全く別の考えへと飛躍し、過去の記憶、現在の出来事、未来への夢想が入り混じります。
特徴3：多弁で饒舌な語り口
アルカードは非常に多弁で、自身の考えや感情、計画などを事細かに語ります。彼の語りは時に長大で複雑になり、読者は彼の思考の迷宮に迷い込むような感覚を覚えます。
特徴4：対話形式の多用
『未成年』では、アルカードと他の登場人物との対話が頻繁に登場します。これらの対話は、アルカードの性格や人間関係を浮き彫りにするだけでなく、当時のロシア社会における様々な問題や思想を浮かび上がらせる役割も担っています。
特徴5：手紙形式の挿入
物語中には、アルカードが書いた手紙や、他の登場人物から彼に宛てた手紙が挿入されます。これらの手紙は、登場人物たちの心情をより深く理解させると同時に、物語に新たな展開をもたらす効果も持っています。