ヘッブの行動の機構の入力と出力
入力
ヘッブの法則は、シナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンの活動の関係を述べたものであり、学習と記憶の基礎となる神経メカニズムであると広く考えられています。ヘッブの法則の最も一般的な表現は、「一緒に発火するニューロンは結合する」というものです。つまり、シナプス前ニューロンが繰り返しシナプス後ニューロンの発火に関与すると、それらのニューロン間のシナプス結合が強化されるということです。
ヘッブの法則への入力は、シナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンの活動です。具体的には、シナプス前ニューロンの軸索終末からの神経伝達物質の放出と、シナプス後ニューロンの樹状突起上の受容体への神経伝達物質の結合によって決まります。シナプス後ニューロンの活性化（発火）は、シナプス結合の強度の変化、したがってヘッブ学習の発生のもう1つの重要な要素です。
出力
ヘッブの法則の出力は、シナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンの活動の時間的関係に応じて、シナプス結合の強度が変化することです。シナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンが繰り返し同時に発火する場合、シナプス結合は強化され、長期増強（LTP）と呼ばれるプロセスになります。一方、シナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンが繰り返し非同期的に発火する場合、シナプス結合は弱体化され、長期抑圧（LTD）と呼ばれるプロセスになります。
LTPとLTDは、シナプス可塑性と呼ばれる、経験に応じてシナプス結合の強度が変化する能力であるとされています。シナプス可塑性は、学習と記憶の基礎となるメカニズムであると考えられています。