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ヒュームの人間機械論の入力と出力

## ヒュームの人間機械論の入力と出力

入力

ヒュームは、経験論の立場から、人間の知識の源泉は感覚経験であると主張しました。外界からの感覚的印象が、人間の心の「白紙状態」に刻印され、アイデアを生み出すとされました。

感覚印象

ヒュームによれば、感覚印象とは、外界の事物を知覚する際に直接的に心に与えられる生々しい経験です。例えば、赤いリンゴを見た時の「赤さ」や「丸さ」、触れた時の「滑らかさ」や「冷たさ」といった感覚的な印象が挙げられます。

観念

感覚印象は、そのままでは消えやすいものです。そこで、心は受け取った感覚印象を記憶し、再構成することで「観念」を生み出します。観念は、感覚印象を基に心に描き出されたイメージであり、直接的な感覚経験と比べて、より薄く、ぼんやりとしたものです。

観念の結合

心は、単純な観念を素材として、想像力によって結合し、複雑な観念を作り出すことができます。例えば、「翼」と「馬」という単純な観念を組み合わせることで、「ペガサス」という複雑な観念を作り出すことができます。

出力

ヒュームは、人間の行動や判断も、入力された感覚印象と、そこから派生した観念に基づくと考えました。理性は、観念同士の関係を明らかにする役割を担いますが、行動の直接的な動機となるのは、情念や感情といった非理性的な要素であると主張しました。

情念

ヒュームは、人間の行動の主な動機を「情念」に求めました。情念とは、快・不快といった感覚的な経験であり、理性的な判断よりも、より直接的に行動を駆り立てる力を持つとされます。

習慣と想像力

ヒュームは、人間の行動の多くが、過去の経験に基づく「習慣」によって形成されると考えました。繰り返し経験することで、特定の行動と、その結果として得られる快・不快な情念との間に強い結びつきが生まれます。そして、未来においても同様の状況に遭遇した際に、過去の経験に基づいて行動を選択するようになるのです。この時、過去の経験を思い出し、未来を予測する上で重要な役割を果たすのが「想像力」です。

ヒュームは、以上のように、人間の心の働きを、感覚印象を入力とし、行動や判断を出力とする、一種の機械のようなシステムとして捉えました。ただし、ヒューム自身は、人間を文字通りの機械だと考えていたわけではありません。あくまで、人間の心の働きを理解するためのモデルとして、機械的な比喩を用いたと考えるべきでしょう。

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