ハロッドの動態経済学序説の入力と出力

ハロッドの動態経済学序説は、1930年代後半の経済状況、特に大恐慌後の景気低迷と高い失業率を背景に書かれました。当時の経済学は静的な均衡分析が中心であり、経済成長や循環のメカニズムを動学的に説明するには限界がありました。

ハロッドは、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』から大きな影響を受けました。特に、有効需要の原理と乗数効果の概念は、ハロッドの動学モデルにおいて重要な役割を果たしています。また、マルクスの資本蓄積論やシュンペーターのイノベーション理論も、ハロッドの思考に影響を与えたと考えられます。

これらの理論や当時の経済状況を踏まえ、ハロッドは経済成長の条件と、その過程で生じる可能性のある 불균형について分析しました。

ハロッドの動態経済学序説は、以下の3つの主要な成果を生み出しました。

第一に、経済成長率を貯蓄率、資本係数、人口増加率などの変数で説明する、体系的なモデルを構築しました。特に、完全雇用を維持するために必要な投資水準である「保証成長率」の概念は、後の経済成長論に大きな影響を与えました。

第二に、均衡成長経路からの逸脱、すなわち経済変動の可能性を分析しました。貯蓄率、資本係数、人口増加率などの変化が、景気循環や長期的な経済停滞を引き起こす可能性を示しました。

第三に、政府の経済政策の役割を強調しました。ハロッドは、市場メカニズムだけでは経済の安定的な成長を達成することは難しいと考え、財政政策や金融政策によって有効需要を調整することの重要性を主張しました。

これらの成果は、後の経済学者に多大な影響を与え、現代の経済成長論、景気循環論、経済政策論の基礎を築きました。