ジスモンディの政治経済学新原理の入力と出力
ジスモンディの政治経済学新原理における「入力」
ジスモンディの主著『政治経済学新原理』は、1819年の初版刊行当時、大きな論争を巻き起こした著作として知られています。この著作は、当時の経済学の主流であったアダム・スミスやジャン＝バティスト・セイらの古典派経済学の原理、とりわけ「レッセ・フェール（自由放任）」の是非を問うものでした。
ジスモンディは、自らの論を展開する上で、当時の社会状況を詳細に観察し、それを「入力」としています。
具体的な「入力」の内容
ジスモンディが特に注目したのは、産業革命がもたらした社会構造の変化、特に労働者階級の貧困問題でした。工場の機械化が進展する一方で、労働者は失業や低賃金に苦しんでおり、ジスモンディはこれを「富の偏在」と捉えました。
「入力」から導き出されるジスモンディの問題意識
ジスモンディは、古典派経済学が前提としていた「経済の自然な均衡」という考え方に疑問を抱き、現実の経済社会には様々な矛盾や不均衡が存在すると主張しました。そして、その原因は、生産と消費の不均衡、すなわち「過剰生産」にあると分析しました。
ジスモンディの政治経済学新原理における「出力」
ジスモンディは、上述のような「入力」に基づき、古典派経済学への批判と、独自の経済理論を「出力」として提示しました。
具体的な「出力」の内容
ジスモンディは、自由競争を是とする古典派経済学に対し、政府による介入の必要性を説きました。具体的には、労働時間規制や最低賃金制などの社会政策によって労働者階級の生活水準を向上させるべきだと主張しました。また、富の偏在を是正するために、相続税の強化なども提唱しています。
「出力」が後世に与えた影響
ジスモンディの主張は、その後の社会主義思想や、ケインズ経済学などにも大きな影響を与えました。特に、政府による経済介入の必要性を説いた点は、20世紀以降の資本主義経済における重要な論点となっています。