## シェイクスピアのリチャード二世の光と影
光
リチャード二世の「光」はその華麗な言葉遣いに最も顕著に現れています。彼は美しく、比喩に富んだ言語を操り、自己の感情や苦悩を詩的に表現します。例えば、三幕二場におけるイングランドの土を握りしめる場面では、王としての責任と故郷への愛着を痛切に吐露します。また、四幕一場における退位の場面でも、王冠を手放す悲しみと屈辱を雄弁な言葉で描写し、観る者の心を打ちます。
彼の「光」はまた、芸術や美に対する深い感受性にも表れています。彼は音楽を愛し、自分の感情を表現する手段として用います。また、周囲の人々の美しさや醜さに敏感に反応し、それらを言葉で表現することに長けています。彼の鋭い観察眼と美的感覚は、劇中の登場人物たちとの対比を際立たせる役割も担っています。
影
リチャード二世の「影」は、彼の政治的な無能さと現実逃避的な性格に深く根ざしています。彼は自身の王としての権力よりも、儀式や象徴性に固執し、現実的な問題から目を背ける傾向があります。例えば、国が財政難に陥っているにもかかわらず、彼は浪費を続け、側近たちの意見に耳を傾けようとしません。
彼の「影」は、自己中心的で感情的な側面にも現れています。彼は自分の感情に支配されやすく、周囲の人々に対する配慮に欠けることがあります。例えば、ボリングブルックに追放された後も、自分の不幸を嘆き続けるばかりで、周りの人々の苦しみには無関心です。
さらに、彼は自己憐憫に陥りやすく、自分の失敗を認めようとしない一面も持ち合わせています。彼は常に自分を正当化しようと試み、周囲の人々を非難することで自らの責任から逃れようとします。このような彼の性格は、最終的に彼の没落を招く要因の一つとなります。