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ジスモンディの政治経済学新原理の批評

## ジスモンディの政治経済学新原理の批評

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ジスモンディの思想に対する同時代人の反応

ジスモンディの『政治経済学新原理』は、1819年の出版当時、経済学者や思想家の間で賛否両論でした。彼の主張は、当時の支配的な経済学派であった古典派経済学の楽観的な見解に真っ向から対立するものでした。

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古典派経済学からの批判

アダム・スミスやジャン=バティスト・セイに代表される古典派経済学者は、自由放任主義的な経済政策と、市場メカニズムによる自動的な調整機能を信奉していました。彼らは、生産力の増大が社会全体の幸福をもたらすと考えていました。

ジスモンディは、古典派経済学のこうした楽観的な見解を批判しました。彼は、産業革命の進展が、富の集中、貧困の拡大、経済危機の頻発など、多くの社会問題を引き起こしていると主張しました。彼は、自由競争は必ずしも社会全体の利益に繋がらず、むしろ一部の資本家の利益のために労働者を犠牲にする可能性があると警告しました。

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社会主義者からの批判

一方、ロバート・オウエンやシャルル・フーリエなどの初期社会主義者たちは、ジスモンディの分析の一部に共感しながらも、彼の提示した解決策の現実性に疑問を呈しました。彼らは、ジスモンディが資本主義体制の枠組みの中での改革を目指していた点、特に私有財産制を維持しようとした点を批判しました。

社会主義者たちは、根本的な社会変革、すなわち資本主義体制そのものを転覆し、生産手段の社会的所有に基づく新しい社会を構築することによってのみ、貧困や不平等などの社会問題を解決できると考えていました。

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ジスモンディの影響

ジスモンディの思想は、同時代の経済学者から厳しい批判にさらされましたが、その後の経済学や社会思想に一定の影響を与えました。特に、彼の経済危機に関する分析は、カール・マルクスの資本主義経済の危機に関する理論に影響を与えたと言われています。

また、ジスモンディの思想は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての社会改革運動にも影響を与え、労働時間短縮、社会保障制度の導入など、国家による市場経済への介入を正当化する根拠となりました。

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