60代のためのチョーサー「カンタベリー物語」
中世イギリス社会への窓
チョーサーの「カンタベリー物語」は、14世紀後半のイギリス社会を鮮やかに描き出した作品です。巡礼者たちがカンタベリー大聖堂を目指す旅の道中で、それぞれの身分や職業、性格を反映した物語を語るという構成をとっています。騎士、修道院長、商人、料理人、粉屋、学生、尼僧院長など、多様な人々が織りなす物語は、当時の社会階層や生活の様子、人々の価値観や考え方などを理解する上で貴重な資料となります。60代という人生経験豊富な世代にとって、歴史的背景を踏まえながら作品を読むことで、現代社会との比較や共通点を見出すことができるでしょう。
人間の普遍性に触れる
「カンタベリー物語」に登場する巡礼者たちは、善人から悪人、高貴な身分から貧しい身分まで、実に様々です。それぞれの物語には、愛憎、嫉妬、裏切り、欲望、信仰など、人間の根源的な感情や行動が描かれています。時代や文化が違えど、人間の持つ普遍的な側面は変わりません。60代という人生の節目を迎えた世代にとって、作品を通して人間の喜怒哀楽に触れることは、自分自身の人生を振り返り、これからの人生を考える上で大きな示唆を与えてくれるでしょう。人生における様々な経験を積んできたからこそ、共感できる部分や新たな発見があるはずです。
多様な物語形式を楽しむ
「カンタベリー物語」は、ロマンス、寓話、説教、ファブリオー(短い滑稽話)など、多様な物語形式で構成されています。それぞれの物語は独立しているため、好みの物語を選んで読むことも可能です。また、各物語は巡礼者たちの性格や立場を反映しており、物語を通して登場人物の個性をより深く理解することができます。多様な物語形式に触れることで、中世文学の面白さを味わえるとともに、物語の構成や表現技法など、文学的な視点からも作品を楽しむことができるでしょう。長編ではありますが、それぞれの物語は比較的短いため、少しずつ読み進めることも可能です。
英語の変遷を知る
「カンタベリー物語」は、中英語で書かれた作品です。現代英語とは異なる表現や単語が多く使われていますが、英語の変遷を辿る上で貴重な資料となっています。現代英語を学ぶ過程で触れた単語の語源が中英語にある場合もあり、英語学習の新たな発見につながる可能性もあります。もちろん、日本語訳で読むことも可能です。日本語訳版でも、注釈や解説を通して中英語の特徴や当時の言語文化に触れることができます。
人生の深みと彩りを加える
60代は、人生における大きな転換期を迎える時期でもあります。現役を引退し、新たな趣味や活動を始めたり、家族や友人との時間を大切にしたりと、人生の過ごし方も変化していくでしょう。そのような時期に「カンタベリー物語」を読むことは、人生の深みと彩りを加えることにつながるかもしれません。古今の名作に触れることで、知的好奇心を刺激し、新たな視点や価値観を得ることができるでしょう。また、読書会や勉強会に参加することで、作品を通して他者と交流し、新たなコミュニティを広げる機会にもなります。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。