60代のためのシェイクスピア「マクベス」
野心と後悔の物語
マクベスは、シェイクスピア四大悲劇の一つに数えられる作品です。スコットランドの将軍マクベスが、魔女の予言に突き動かされ、王ダンカンを殺害して王位を簒奪する物語です。しかし、その王座は安泰とは程遠く、マクベスは罪悪感と恐怖に苛まれ、次々と殺人を重ねていきます。最終的には、マクベス自身も反乱軍に討たれ、悲劇的な最期を迎えます。この劇は、野心、権力、罪悪感、運命といった普遍的なテーマを扱っており、人間の心の奥底にある闇を鋭く描いています。
人生経験と重ねて読む
60代という人生の節目にマクベスを読むことで、これまでの人生経験と重ね合わせ、物語をより深く理解することができます。マクベスは、最初は勇敢な将軍として称賛されていましたが、野心に目がくらみ、道を踏み外してしまいます。人生において、成功や権力に誘惑される経験は誰にでもあるかもしれません。マクベスを通して、自らの過去の選択や行動を振り返り、人生における価値観や優先順位を再確認する機会となるでしょう。また、マクベスの苦悩や後悔は、人生における選択の重要性や、その結果に伴う責任について深く考えさせるきっかけとなります。
人間の弱さと強さを見つめる
マクベスは、野心だけでなく、愛情、友情、忠誠心といった人間的な感情も持ち合わせています。妻であるレディ・マクベスとの関係性や、友人バンクォーとの友情は、物語に深みを与えています。マクベスの葛藤や苦悩を通して、人間の弱さや脆さを実感すると同時に、逆境の中でも生き抜こうとする強さや、最後まで希望を捨てない人間の可能性を見出すことができるでしょう。シェイクスピアの巧みな言葉遣いは、登場人物たちの心情を鮮やかに描き出し、読者の心に深く響きます。
時代を超えた普遍性
マクベスは、17世紀初頭に書かれた作品ですが、現代社会にも通じる普遍的なテーマを扱っています。権力闘争、陰謀、裏切りといった出来事は、現代社会でも残念ながら見られます。マクベスを読むことで、人間の本質や社会の構造について改めて考え、現代社会における自身の立ち位置や役割を省みるきっかけとなるでしょう。また、作品を通して、歴史や文化への理解を深めることもできます。
異なる解釈を楽しむ
マクベスは、様々な解釈が可能な作品です。マクベスを野心に駆られた悪人として見る人もいれば、運命の犠牲者として同情する人もいます。レディ・マクベスの役割についても、様々な解釈が存在します。60代という人生経験豊富な時期だからこそ、自分自身の解釈で物語を読み解き、新たな発見を楽しむことができるでしょう。様々な文献や批評を読むことで、さらに理解を深めることも可能です。
豊かな言葉の世界に触れる
シェイクスピアの戯曲は、その美しい言葉遣いでも高く評価されています。マクベスにも、数多くの名台詞や格言が登場します。これらの言葉に触れることで、言葉の力や表現の豊かさを改めて実感し、日本語とは異なる英語の表現の奥深さを感じることができるでしょう。翻訳版を読む場合でも、訳者によって表現が異なるため、複数の翻訳を読み比べてみるのもおすすめです。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。