50代のためのデューイ「経験としての自然」
デューイの生きた時代と「経験としての自然」の位置づけ
ジョン・デューイは1859年に生まれ、1952年に亡くなったアメリカの哲学者、教育学者、心理学です。プラグマティズム、機能主義心理学、経験主義に大きな影響を与えた人物として知られています。「経験としての自然」は1925年に出版されたデューイの主著の一つで、彼の哲学体系の根幹をなすものです。この著作でデューイは、それまでの西洋哲学における心身二元論や主観と客観の分離といった伝統的な考え方を批判し、人間と自然を連続した一つの経験の流れとして捉える新しい視点を提示しました。
50代における人生経験とデューイの哲学の接点
50代は人生において大きな転換期を迎える時期です。子育てが一段落したり、キャリアのピークを迎えたり、あるいは定年を意識し始めるなど、様々な変化が生じます。これまでの経験を振り返り、将来への不安や期待が交錯する中で、自分自身の人生や世界との関わり方を改めて問い直す機会が増えるのではないでしょうか。デューイの哲学は、まさにこうした人生の転換期において、新たな視点を与えてくれる可能性を秘めています。デューイは、経験を単なる知識の受動的な受け取り手ではなく、能動的な構成要素として捉えました。過去の経験を省察し、現在の状況を分析し、未来に向けて行動していく。この一連の流れがデューイのいう経験であり、人生そのものと言えるでしょう。
「経験としての自然」における自然観の理解
デューイにとって「自然」とは、人間を取り巻く環境全体を指します。自然界の事物だけでなく、社会や文化、人間関係、そして自分自身の身体や心も含まれます。これらはすべて相互に関連し合い、影響を与え合いながら変化していく動的な存在です。デューイは、このような自然の中に人間は生きており、自然との相互作用を通して経験を積み重ねていくと主張します。50代になると、これまでの経験を通して自分自身の身体や心の変化をより強く意識するようになります。デューイの自然観は、こうした変化を自然な流れとして受け止め、自分自身を自然の一部として捉え直すことを促します。
問題解決と探求の重要性
デューイは、人間は問題に直面したときに思考し、行動することで経験を豊かにしていくと述べています。問題とは、必ずしもネガティブな出来事だけを指すのではありません。新しい目標を設定したり、未知の分野に挑戦したりすることも、デューイのいう問題に含まれます。50代は、これまでの人生で培ってきた知識や経験を活かしながら、新たな問題に挑戦していく時期でもあります。デューイの哲学は、問題解決を単なる困難の克服ではなく、成長の機会として捉えることを教えてくれます。試行錯誤を繰り返しながら、より良い解決策を探求していく過程こそが、経験を深化させ、人生を豊かにしていくのです。
習慣と成長
デューイは、習慣の重要性を強調しました。習慣とは、過去の経験が蓄積され、自動化された行動パターンです。習慣は、日常生活を円滑に進める上で不可欠なものです。しかし、固定化された習慣は、新たな経験を阻害する可能性もあります。50代になると、これまでの習慣を見直し、新たな習慣を身につけることが重要になります。デューイは、習慣を柔軟に変化させ、成長につなげていくことを提唱しました。「経験としての自然」を読むことで、習慣の重要性と同時に、変化への適応力も身につけることができるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。