40代のためのプラトン「ゴルギアス」
ソクラテスと弁論術師たちの対話
「ゴルギアス」は、プラトンが書いた対話篇の一つです。主人公は哲学者ソクラテスであり、彼は弁論術師ゴルギアス、ポロス、カリクレスといった人物と議論を交わします。 ソクラテスは、彼らとの対話を通して、真の弁論術とは何か、正義とは何か、幸福な生とは何かを問い詰めていきます。
40代における人生の転換点と「ゴルギアス」
40代は、人生における大きな転換点を迎える時期です。仕事においては、管理職としての責任が増したり、キャリアの積み重ねを振り返る機会が増えたりします。家庭においても、子どもの成長や親の介護など、新たな役割を担うことが求められる時期です。こうした変化の中で、自分自身の人生や価値観を見つめ直す機会も多くなります。「ゴルギアス」は、まさに人生における重要な問いを扱っており、40代の人々が自己を見つめ直す上で貴重な示唆を与えてくれる可能性があります。
真の技術と見せかけの技術
「ゴルギアス」の中で、ソクラテスは弁論術を「技術」の一つとして捉え、料理術や医学といった他の技術と比較しながらその本質を問います。ソクラテスは、真の技術は対象に善をもたらすものであると主張します。例えば、医学は身体の健康を、料理術は身体の快楽をもたらす技術です。 一方、弁論術は、聴衆を説得することを目的としていますが、それが必ずしも聴衆の善につながるとは限りません。むしろ、不正な目的のために用いられる可能性もあります。ソクラテスは、真の弁論術とは、聴衆の魂を善導する技術であるべきだと主張します。 40代になると、仕事で培ってきた技術やスキルを振り返る機会が増えます。 「ゴルギアス」を読むことで、自分が身につけてきた技術が真に人々の善に役立っているのか、それとも見せかけだけの技術に過ぎないのかを省みるきっかけとなるかもしれません。
正義と不正、快楽と幸福
「ゴルギアス」では、正義と不正、快楽と幸福についても深く議論されます。カリクレスは、不正を行うことによって快楽を得ることが、真の幸福であると主張します。 しかし、ソクラテスは、真の幸福とは、魂の調和であり、それは正義によってのみ達成されると反論します。不正を行えば、たとえ一時的な快楽を得たとしても、最終的には魂に不調和をもたらし、真の幸福からは遠ざかると主張します。40代になると、社会的な成功や物質的な豊かさよりも、心の充足や真の幸福を求める気持ちが強くなる人も多いでしょう。「ゴルギアス」は、真の幸福とは何かを改めて考える上で、重要な示唆を与えてくれます。
自己省察と対話の重要性
「ゴルギアス」全体を通して、ソクラテスは問答法を用いて相手と議論を展開していきます。ソクラテスは、自らの無知を自覚し、相手の発言を注意深く聞きながら、論理的な矛盾を指摘し、真実に迫ろうとします。このソクラテスの姿勢は、自己省察と対話の重要性を示唆しています。40代は、これまでの人生経験を踏まえ、自分自身と向き合い、より深く考える時期でもあります。「ゴルギアス」を読むことで、ソクラテスの問答法に触れ、自分自身の人生や価値観について深く考えるきっかけを得ることができるでしょう。
プラトンの思想に触れる
「ゴルギアス」は、プラトンの主要な思想に触れることができる作品でもあります。イデア論、魂の不死、徳の知識など、プラトンの哲学のエッセンスが凝縮されています。 これらの思想に触れることで、哲学的な思考力を養い、物事を多角的に捉えることができるようになるでしょう。 これは、40代以降の人生をより豊かに生きる上で、大きな助けとなるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。