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20代のためのケルゼン「自然法論と法実証主義」

20代のためのケルゼン「自然法論と法実証主義」

なぜ20代がケルゼンを読むべきなのか?

20代は、人生における多くの重要な選択を迫られる時期です。進学、就職、結婚、出産など、自分の人生の方向性を決定づけるような選択が次々と訪れます。そして、これらの選択は、社会の中でどのような役割を果たし、どのような責任を負うのかといった問題とも密接に結びついています。社会の中で生きていく以上、私たちは法律や道徳といった規範と向き合わざるを得ません。そして、現代社会においては、ますます複雑化・多様化する価値観の中で、何が正しく、何が間違っているのかを判断することが難しくなっています。

このような状況において、ケルゼンが提唱した「純粋法学」は、私たちに重要な示唆を与えてくれます。ケルゼンは、法を道徳や自然法といった規範から切り離し、法それ自体を客観的に分析しようとした法学者です。彼の代表作である「自然法論と法実証主義」は、自然法論と法実証主義という二つの法思想を対比させながら、法の本質を探求した著作です。

「自然法論と法実証主義」でケルゼンは何を主張したのか?

ケルゼンは、「自然法論と法実証主義」の中で、まず自然法論を批判的に検討しています。自然法論とは、法の根拠を人間の理性や神意に求め、普遍的かつ不変の法が存在すると考える立場です。しかし、ケルゼンは、自然法論が主張するような普遍的な法は存在しないと批判します。人間の理性や神意は、時代や文化によって異なるため、そこから普遍的な法を導き出すことは不可能だと考えたのです。

一方で、ケルゼンは、法実証主義にも一定の評価を与えています。法実証主義とは、法を人間の作った規則とみなし、法の妥当性をその制定手続きに求める立場です。ケルゼンは、法実証主義が法の客観性を重視する点については評価しましたが、同時に、法実証主義が法の正当性について十分に説明できないと批判しました。法実証主義は、法がどのような内容であっても、それが正当な手続きで制定されていれば、その法は妥当であるとみなします。しかし、ケルゼンは、法の内容が不正義であっても、それが正当な手続きで制定されていれば、その法に従わなければならないのかという問題を提起しました。

20代がケルゼンから何を学べるのか?

ケルゼンは、自然法論と法実証主義の両方を批判的に検討することで、「純粋法学」という独自の法理論を構築しました。純粋法学は、法を道徳や政治といった規範から切り離し、法それ自体を客観的に分析しようとする立場です。ケルゼンは、法を「規範の体系」と定義し、法の妥当性は上位の規範によって保証されると考えました。

20代がケルゼンを読むことで得られるものは、大きく分けて二つあります。

一つ目は、**批判的な思考力**です。ケルゼンは、自然法論と法実証主義という二つの法思想を批判的に検討することで、法の本質に迫ろうとしました。彼の著作を読むことで、私たちもまた、既存の考え方にとらわれず、物事を多角的に捉え、批判的に考える力を養うことができます。

二つ目は、**法に対する深い理解**です。現代社会は、ますます複雑化・多様化しており、それに伴い、法の役割も大きくなっています。ケルゼンの著作を読むことで、法とは何か、法の役割とは何かといった根本的な問題について深く考えることができます。これは、社会の中で生きていく上で、非常に重要なことです。

ケルゼンの著作は、決して容易なものではありません。しかし、20代のうちに彼の著作と格闘することで、得られるものは計り知れません。それは、単なる法律の知識ではなく、社会の中で生きていく上で必要な、批判的な思考力と法に対する深い理解です。そして、それは、20代がより良い未来を創造していくための大きな力となるでしょう。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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