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10代のためのキルケゴール「死にいたる病」

10代のためのキルケゴール「死にいたる病」

1.絶望という普遍的なテーマに触れる

キルケゴールの主著「死にいたる病」は、一見難解な哲学書のように思えるかもしれません。しかし、その核心には、10代も無縁ではない「絶望」という普遍的な人間の感情が深く掘り下げられています。キルケゴールは、この絶望を単なるネガティブな感情として捉えるのではなく、自己認識と自己形成への重要な一歩と位置づけています。思春期という、自我の確立や将来への不安など、様々な葛藤を抱えやすい時期において、キルケゴールの洞察は、自身の内面と向き合うための貴重な視点を提供してくれます。

2.「自分らしさ」とは何かを考えるきっかけになる

現代社会では、SNSなどを通じて他者と比較し、焦燥感や劣等感を抱きやすい環境にあります。キルケゴールは「死にいたる病」の中で、他人と比較することで生まれる「自己喪失」の危険性を指摘しています。彼は、真の自己とは、他者からの評価や社会的な期待に左右されることなく、自分自身の内面と誠実に向き合うことで初めて発見できるものだと説いています。10代にとって、周囲の期待や流行に流されず、自分自身の価値観やアイデンティティを確立していくことは重要な課題です。「死にいたる病」を読むことで、「自分らしさ」とは何か、自分はどう生きたいのかを深く考えるきっかけを得ることができます。

3.様々な形の絶望を理解し、共感する

キルケゴールは「死にいたる病」の中で、絶望を「自己を意識しない絶望」「自己を意識するが、自己であろうとしない絶望」「自己であろうとするが、自己になれない絶望」の三段階に分類しています。それぞれ、自分の状況に無自覚な状態、現状に不満を抱きながらも変化を恐れる状態、理想の自分に到達できずに苦しむ状態を表しています。10代は、学業、友人関係、恋愛、将来への不安など、様々な場面で葛藤を抱え、絶望を感じることがあります。キルケゴールの分析を通して、自分がどのような絶望を抱えているのかを理解し、その苦しみを客観的に捉えることができるようになるでしょう。また、自分だけでなく、周りの友人や家族が抱える苦しみにも共感し、寄り添うことができるようになるかもしれません。

4.実存主義的な視点から人生を考える

キルケゴールは実存主義の先駆者として知られています。実存主義とは、人間は自由な存在であり、自らの選択によって自分自身を作り上げていくという考え方です。つまり、人生に予め決められた意味や目的はなく、自分自身で意味を見出し、責任を持って生きていく必要があるということです。10代はまさに人生の岐路に立ち、様々な選択を迫られる時期です。将来の進路、人間関係、自分の価値観など、多くの決断を迫られる中で、キルケゴールの実存主義的な視点は、自分の人生を主体的に選択し、責任を持って生きていくことの重要性を教えてくれます。「死にいたる病」を読むことで、自分の人生に対する責任と自由について深く考えるきっかけになるでしょう。

5.信仰の可能性について触れる

キルケゴールは敬虔なキリスト教徒であり、「死にいたる病」の中でも信仰について深く考察しています。彼は、真の自己への到達、そして絶望からの救済は、最終的には信仰によってのみ可能になると主張しています。信仰とは、単なる宗教的な儀式や教義の理解ではなく、自分自身と向き合い、存在の根源的な問いと向き合うことでもあります。10代にとって、信仰は必ずしも身近なテーマではないかもしれませんが、キルケゴールの考察を通して、人生の意味や価値、そして人間の存在についてより深く考えるきっかけになるでしょう。彼が提示する信仰は、特定の宗教に限定されるものではなく、自分自身にとっての「よりどころ」や「生きる意味」を探すことにも通じます。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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