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J・S・ミルの経済学原理を読む前に

## J・S・ミルの経済学原理を読む前に

ミルの生涯と時代背景を知る

ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill)は、19世紀のイギリスを代表する哲学者、経済学者、政治思想家です。1806年に生まれ、幼少期から厳格な教育を受け、10代前半にはギリシャ語やラテン語を習得し、哲学、歴史、経済学など幅広い分野を学んでいます。特に、功利主義を提唱したジェレミ・ベンサムの影響を強く受け、ベンサムの思想を受け継ぎながらも独自の修正を加え、功利主義をより洗練された思想体系へと発展させました。

ミルの主著『経済学原理』(Principles of Political Economy)は、1848年に初版が出版されました。この時期のイギリスは、産業革命の真っただ中にあり、資本主義経済が急速に発展していました。一方で、貧富の格差の拡大や労働問題など、様々な社会問題も深刻化していました。ミルは、このような時代背景の中で、『経済学原理』において、当時の経済学の学説を整理し、自由主義の立場から、自由貿易や政府の役割、社会正義などについて論じました。

彼の思想は、後の経済学者や政治思想家たちに多大な影響を与え、現代社会においても重要な示唆を与え続けています。『経済学原理』をより深く理解するためには、ミルの生涯や当時の時代背景について知ることは非常に重要です。

当時の経済学の潮流を押さえる

ミルは、アダム・スミスやデイヴィッド・リカードといった古典派経済学者の影響を受けながら、独自の経済学説を展開しました。古典派経済学は、市場メカニズムの重要性を強調し、政府の介入を最小限に抑えるべきだとする考え方です。

ミルも基本的には古典派経済学の考え方を支持していましたが、一方で、貧困問題や労働問題など、当時の社会問題に対して、政府が積極的に介入する必要性を説くなど、古典派経済学の限界も認識していました。

そのため、『経済学原理』を読む際には、当時の経済学の潮流、特に古典派経済学の基本的な考え方やその限界について理解しておくことが重要です。古典派経済学を代表するアダム・スミスの『国富論』や、リカードの『経済学および課税の原理』などを事前に読んでおくことも役立ちます。

本書の構成と主な論点を概観する

『経済学原理』は、全5巻からなる大著です。それぞれの巻では、生産、分配、交換、社会の進歩に対する政府の干渉、といったテーマが扱われています。

第1巻と第2巻では、生産と分配に関する古典派経済学の理論を解説し、第3巻では、価値や価格の決定メカニズムについて論じています。第4巻では、社会の進歩に伴う経済の変動や、政府の役割について考察し、最後の第5巻では、課税の原則や政府の財政政策について論じています。

本書を読む前に、それぞれの巻でどのようなテーマが扱われているのか、主な論点は何か、といった点を概観しておくことで、よりスムーズな読解が可能になります。また、本書は非常に難解な部分も多いので、事前に要約や解説書などを参照しておくことも有効です。

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