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J・S・ミルの経済学原理の対極

## J・S・ミルの経済学原理の対極

J・S・ミルの『経済学原理』とは?

ジョン・スチュアート・ミルが1848年に発表した『経済学原理』は、19世紀後半に大きな影響力を持った経済学書です。古典派経済学の集大成とされ、リカードの価値論やセーの法則などを継承しつつ、社会主義思想や功利主義の観点を取り入れた点が特徴です。

対極に位置する歴史的名著:候補とその根拠

ミルの『経済学原理』の対極に位置する歴史的名著として、いくつかの候補とその根拠が考えられます。

1. カール・マルクスの『資本論』

マルクスの『資本論』(1867年-1894年)は、資本主義経済を分析し、その内部矛盾を明らかにすることで、資本主義の崩壊と社会主義への移行を主張した著作です。これは、自由放任主義的な経済活動を前提とし、資本主義体制の維持を前提としたミルの立場とは根本的に対立するものです。

* **対極的な視点:** ミルが個人の自由と市場メカニズムを重視するのに対し、マルクスは資本主義の構造的な問題点と階級闘争に焦点を当てています。
* **経済学的方法論:** ミルが演繹的な方法を用いるのに対し、マルクスは歴史的な唯物弁証法に基づいた分析を行っています。
* **結論:** ミルが資本主義の枠組み内での改革を志向したのに対し、マルクスは資本主義の根本的な変革を主張しました。

2. フリードリヒ・リストの『国民経済学の国民的体系』

リストの『国民経済学の国民的体系』(1841年)は、ドイツの経済発展のために保護貿易の必要性を説いた著作です。これは、自由貿易を支持したミルの立場と対立します。

* **自由貿易 vs 保護貿易:** ミルが自由貿易のメリットを強調する一方で、リストは国家による経済介入の必要性を主張しました。
* **経済発展の段階論:** リストは、国の発展段階に応じて経済政策を変えるべきだと主張し、後進国における保護貿易の必要性を説きました。これは、普遍的な経済法則を重視したミルの立場とは異なります。

3. その他

上記の2冊以外にも、ミルの『経済学原理』と対比される経済学の名著は多数存在します。

* **アダム・スミスの『国富論』:** 古典派経済学の基礎を築いたスミスは、市場メカニズムの重要性を説きましたが、ミルはスミスよりも政府の役割を重視する傾向がありました。
* **ジョン・メイナード・ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』:** ケインズは、大恐慌後の世界において、政府による積極的な財政政策の必要性を主張しました。これは、市場の調整機能を重視したミルの立場とは対照的です。

結論

ミルの『経済学原理』は、19世紀の経済学に大きな影響を与えた一方で、その思想は多くの経済学者によって批判や発展が加えられてきました。マルクスやリスト、ケインズといった経済学者は、それぞれの視点からミルの経済学とは異なる理論を展開し、経済学の歴史に大きな足跡を残しました。

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