Skip to content Skip to footer

J・S・ミルの経済学原理の原点

## J・S・ミルの経済学原理の原点

ミルの生い立ちと知的背景

ジョン・スチュアート・ミル(1806-1873)は、スコットランドの経済学者であり、功利主義哲学者ジェレミー・ベンサムの弟子であったジェームズ・ミルを父に持ちました。幼少期から父の厳しい教育を受け、ギリシャ語やラテン語、歴史、数学、経済学など幅広い分野を学びました。特に、ベンサムの功利主義思想と、デヴィッド・リカードの経済学は、後のミルの思想に大きな影響を与えました。

リカード経済学の影響

ミルは、『経済学原理』(1848) において、当時の経済学の権威であったリカードの理論を体系的にまとめ、発展させました。リカードは、『経済学および課税の原理』(1817) において、労働価値説、分配の法則、比較優位論などの重要な概念を提唱し、古典派経済学の基礎を築きました。ミルはリカードの理論を高く評価し、それを土台として独自の経済学を構築しようとしました。

功利主義の影響

ミルの経済学は、リカード経済学だけでなく、ベンサムから受け継いだ功利主義思想にも深く根ざしています。功利主義は、「最大多数の最大幸福」を道徳の原則とする考え方であり、ミルはこれを経済政策にも適用しようとしました。彼は、政府の役割は、個人の自由を最大限に尊重しつつ、社会全体の幸福を最大化するような政策を実施することだと考えました。

先行世代の経済学者からの影響

ミルは、リカードやベンサム以外にも、アダム・スミス、トマス・ロバート・マルサス、ジャン=バティスト・セイなど、多くの先行世代の経済学者から影響を受けました。彼は、彼らの著作を批判的に検討し、自身の経済学に取り入れました。

独自の視点を盛り込んだ経済学

ミルは、先行する経済学者の理論を単に踏襲するのではなく、独自の視点も積極的に盛り込みました。例えば、彼は、リカードが重視した生産面だけでなく、分配面の問題にも関心を持ち、社会正義の実現にも配慮した経済政策の必要性を説きました。また、彼は、女性の社会進出や労働者階級の生活水準向上など、当時の社会問題にも積極的に発言し、経済学を現実の社会問題解決に役立てようとしました。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5