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三島由紀夫の金閣寺を読んだ後に読むべき本

三島由紀夫の金閣寺を読んだ後に読むべき本

美と破壊の炎:芥川龍之介「地獄変」を読む

「金閣寺」を読み終え、美への執着と破壊の衝動渦巻く世界に浸った後、同じテーマを全く異なる角度から描いた作品として、芥川龍之介の「地獄変」は深い共鳴を呼び起こすでしょう。「金閣寺」が戦後のニヒリズムを背景に、現実と理想の乖離に苦悩する青年僧の物語であるのに対し、「地獄変」は平安時代を舞台に、芸術に全てを捧げる絵師の狂気と執念を描いています。

「金閣寺」の主人公・溝口が、現実の金閣の美しさに圧倒され、自身の内面に抱える醜悪さと対比させることで、破壊への衝動を募らせていくのと同様に、「地獄変」の主人公・良秀もまた、完璧な美を追い求めるあまり、常軌を逸した行動に走ります。生贄として捧げられた娘の苦しみさえも、芸術のために利用しようとする良秀の姿は、美と倫理の境界線を問いかける「金閣寺」のテーマと響き合い、読者に更なる考察を促します。

時代背景や物語の構造は大きく異なるものの、「美とは何か」「人間はどこまで残酷になれるのか」という根源的な問いを、それぞれ独自のアプローチで描き出す「金閣寺」と「地獄変」。二つの作品を読み比べることで、人間の心の奥底に潜む闇と光、そして美と破壊の複雑な関係について、より深く理解を深めることができるでしょう。

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