ヴォルテールの哲学辞典の話法
風刺と皮肉
ヴォルテールは、当時の社会、宗教、政治などを批判するために、風刺と皮肉を効果的に用いています。彼は、一見、無邪気な疑問を投げかけたり、逆説的な表現を用いたりすることで、読者に既存の権威や常識に疑問を投げかけ、自らの頭で考えるように仕向けます。
簡潔で明快な文体
難解な哲学書が多い中で、ヴォルテールの『哲学辞典』は、簡潔で明快な文体を特徴としています。これは、より多くの読者に自身の思想を理解してもらうための工夫と言えます。短い文章と分かりやすい言葉を用いることで、読者はスラスラと読み進めることができます。
多様な表現技法
ヴォルテールは、風刺と皮肉だけでなく、ユーモア、対話形式、寓話、歴史的事実の引用など、多様な表現技法を駆使しています。それぞれの項目は独立しており、辞書的な体裁をとっていますが、項目同士が関連し合い、ひとつの大きなテーマを浮かび上がらせる構成となっています。
対話と問答
ヴォルテールは、しばしば対話形式を用い、異なる意見をぶつけることで、読者に多角的な視点を与えています。また、断定的な表現を避ける傾向があり、「~かもしれない」「~と考えられる」といった表現を用いることで、読者に自ら考える余地を残しています。