## ヴォルテールのミクロメガスの案内
ミクロメガスの世界
『ミクロメガス』は、フランスの哲学者・文学者であるヴォルテールによって1752年に発表された風刺小説です。物語は、シリウス星人のミクロメガスと、土星人の秘書を主人公に展開されます。ミクロメガスは身長が約39キロメートル、寿命は数百万年に及ぶ巨人で、土星人は地球人から見れば巨人ですが、ミクロメガスと比べると非常に小さい存在として描かれています。
物語のあらすじ
ミクロメガスは生まれ故郷の星を150歳で出奔し、その後、宇宙を旅しながら様々な惑星を訪れます。その道中で出会った土星人と共に地球にたどり着いた二人は、そのあまりにも小さな生き物である人間を観察し始めます。当初は人間の存在にすら気づかなかったミクロメガスたちでしたが、顕微鏡を使って人間を観察し、言葉を理解することで、徐々に交流を深めていきます。
風刺と哲学
『ミクロメガス』は、当時の社会や人間の思想に対する風刺を多分に含んだ作品です。ミクロメガスや土星人の視点を通して、人間の愚かさ、傲慢さ、偏見などが浮き彫りにされていきます。例えば、地球人の宗教観や戦争、哲学などを巡る議論は、人間中心的な思考や価値観に対する痛烈な批判となっています。
科学と啓蒙主義
本作は、18世紀のヨーロッパで隆盛を極めた啓蒙主義の影響を強く受けています。ミクロメガスは理性と科学を重視する人物として描かれ、対話を通して地球人に新たな知識や価値観を提示します。これは、理性に基づいた思考の重要性を説き、迷信や偏見を打破しようとした啓蒙思想の反映と言えるでしょう。