Skip to content Skip to footer

ヴォルテールのカンディードの表象

ヴォルテールのカンディードの表象

表象1:楽観主義の風刺

 ヴォルテールは、『カンディード』を通して、ライプニッツの唱える「最善世界説」を痛烈に風刺しています。主人公カンディードの師であるパン glossは、あらゆる悪にも必ず理由があり、世界は可能な限り最善の状態にあると説きます。しかし、作中では、戦争、宗教裁判、自然災害、人間の残虐行為など、目を覆いたくなるような悲惨な出来事が次々とカンディードを襲います。これらの出来事を通して、ヴォルテールは、現実の世界が決して「最善」からは程遠いことを読者に突きつけ、楽観主義の欺瞞を暴き出しているのです。

表象2:人間の愚かさと邪悪さ

 作中には、愚かで邪悪な人間が数多く登場します。自分の利益のために他人を陥れる貴族、偽善的な宗教者、残忍な兵士など、彼らの行動は人間の醜い側面を如実に表しています。カンディードは、純粋で無垢な青年として描かれており、彼が悪人たちの餌食になる様子を通して、人間の愚かさと邪悪さがより一層際立つようになっています。ヴォルテールは、皮肉とユーモアを交えながら、人間の暗部を容赦なく描き出しているのです。

表象3:理想と現実の対比

 カンディードは、楽園のような場所として描かれる「エルドラド」に辿り着きます。そこでは、富、地位、争いといったものが存在せず、人々は皆、平等で幸せに暮らしています。しかし、エルドラドはあくまでも理想郷であり、現実の世界とはかけ離れた存在です。カンディードは、エルドラドでの経験を通して、現実世界の矛盾や不条理を改めて認識することになります。ヴォルテールは、理想と現実の対比を通して、読者に現実と向き合うことの重要性を訴えかけていると考えられます。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5