ヴォルテールのカンディードの美
風刺の妙
「カンディード」は、ヴォルテールが18世紀の社会や思想を痛烈に風刺した作品です。楽観主義、戦争、宗教、貴族社会など、様々な対象が鋭い筆致で描かれています。
例えば、主人公カンディードの師であるパン glossは、どんな時でも「すべてはこの最善の世界のためになっている」と説く楽観主義者ですが、その言葉とは裏腹に、作中では地震、病気、鞭打ちなど、様々な不幸に見舞われます。このパン glossの姿を通して、ヴォルテールは盲目的な楽観主義を嘲笑しています。
簡潔で力強い文体
ヴォルテールの文体は、簡潔ながらも力強く、読者に強い印象を与えます。無駄を削ぎ落とした明快な文章で、風刺の効果を一層高めています。
例えば、カンディードが経験する数々の不幸は、淡々とした筆致で描かれており、その対比が読者の笑いを誘います。深刻な出来事であるはずなのに、どこか滑稽に感じられるのは、ヴォルテールの文体の特徴と言えるでしょう。
多彩な登場人物
「カンディード」には、主人公カンディードを始め、個性豊かな登場人物が数多く登場します。彼らの多くは、当時の社会を象徴するような存在であり、風刺の対象となっています。
例えば、カンディードが恋焦がれるキュネゴンドは、美貌を武器に生きる女性として描かれています。また、カンディードと共に旅をするカカンボは、現実的な視点を持つ人物であり、パン glossの楽観主義とは対照的な存在です。