ヴォルテールのカンディードの構成
構成の特徴
『カンディード』は、全体を通して、短い章で構成された、picaresque novel(ピカレスク小説)と呼ばれる形式をとっています。 picaresque novel は、スペインで生まれた小説の形式で、悪漢小説とも呼ばれます。
ピカレスク小説は、 typically episodic(典型的にエピソード的)であることが特徴です。
つまり、一貫したプロット構造に重点を置くよりも、主人公が様々な場所を旅し、様々な経験をする中で、社会の矛盾や不条理を風刺的に描くことに重点が置かれます。
『カンディード』も、主人公カンディードが理想主義的な楽天主義から現実的な認識へと変化していく過程を、様々なエピソードを通して描いています。
章立てと内容
『カンディード』は全部で30章から成り立っています。
各章はそれぞれ独立したエピソードとして読むこともできますが、全体としては、カンディードの成長物語として、また、当時の社会に対する風刺として、巧みに構成されています。
主なテーマ
『カンディード』は、当時の社会や思想に対する風刺を込めて書かれた作品です。
作中で扱われている主なテーマは以下の通りです。
* 楽観主義に対する批判
* 戦争の悲惨さ
* 宗教の偽善
* 社会的不公正
これらのテーマは、カンディードの旅や経験を通して、風刺的かつユーモラスに描かれています。