## ヴォルテールのカンディードの対極
###
楽観主義に対するペシミズム
ヴォルテールの『カンディード』は、過剰な楽観主義とライプニッツの「最善の世界」の哲学を風刺した作品として知られています。 カンディードの対極に位置する作品を考察する上で、まず考えられるのは、ペシミズム、あるいは少なくとも楽観主義を否定する思想を表現した作品です。
###
候補となる作品と特徴
* **『旧約聖書』の「伝道の書」:** 人生の虚しさと苦悩を描写し、「空の空、すべては空である」という有名な言葉で知られています。快楽や知恵、富など、あらゆる人間の努力は、究極的には無意味であると説いています。
* **ソフォクレスの悲劇『オイディプス王』:** 運命の皮肉と人間の無力さをテーマに、知性と高潔さを兼ね備えたオイディプス王が、自らの出生の秘密ゆえに破滅へと突き進んでいく様を描いています。
* **ウィリアム・シェイクスピアの悲劇『ハムレット』:** 復讐、裏切り、死といった暗いテーマを扱い、主人公ハムレットの苦悩や絶望を通して、人間の存在の不条理さを浮き彫りにしています。
* **フランツ・カフカの小説『変身』:** ある朝、巨大な虫に変身してしまった男グレゴール・ザムザの姿を通して、現代社会における疎外や人間の尊厳の喪失を描写しています。
###
「カンディード」との対比
これらの作品は、いずれも『カンディード』が風刺の対象とした楽観主義とは対照的な世界観を提示しています。人生の苦悩や不条理、人間の無力さといったテーマを正面から捉え、単純な解決策や幸福な結末を提示することはありません。
###
その他の対比軸
楽観主義とペシミズムという軸以外にも、『カンディード』の対極となりうる作品の特徴はいくつか考えられます。 例えば、風刺ではなくストレートな物語展開を用いた作品、単純化された善悪二元論ではなく複雑な人間関係や道徳を描いた作品などが挙げられます。