ヴェブレンの企業の理論の面白さ
ヴェブレンの企業の理論における「顕示的消費」の概念の面白さ
ヴェブレンの企業の理論において、ひときわ興味深いのは「顕示的消費」という概念でしょう。これは、人々が財やサービスを消費する際、その有用性よりもむしろ、自身の社会的地位や富を誇示するために消費を行うというものです。
従来の経済学では、消費は人間の効用を最大化するために行われるとされてきました。つまり、人々はより多くの満足を得るために、より有用性の高い財やサービスを消費すると考えられてきたのです。
しかし、ヴェブレンは現実社会において、必ずしもそうはならないことを鋭く指摘しました。彼は、人々が自身の社会的地位を誇示するために、高価な宝石やブランド品などを購入する例を挙げ、このような消費行動は、従来の経済学では説明できないと主張したのです。
ヴェブレンの「顕示的消費」という概念は、現代社会においても、高級ブランド品の人気が衰えないことや、高額な美術品が取引されていることなどを説明する上で、非常に示唆に富んでいます。
ヴェブレンの企業の理論における「産業的サボタージュ」の概念の面白さ
もう一つ、ヴェブレンの企業の理論において興味深いのは、「産業的サボタージュ」という概念です。これは、企業が利益を追求するあまり、社会全体の生産性や効率性を低下させてしまう行動を指します。
ヴェブレンは、企業が市場における競争を抑制するために、生産量を意図的に制限したり、価格をつり上げたりすることがあると指摘しました。また、企業が広告やマーケティングを通じて、消費者の購買意欲を不必要に煽ることも、「産業的サボタージュ」の一種であると彼は考えました。
このような企業行動は、短期的には企業の利益に繋がるかもしれませんが、長期的には社会全体の経済的な損失につながる可能性があります。ヴェブレンは、企業の利益追求が、必ずしも社会全体の利益と一致するとは限らないことを、「産業的サボタージュ」という概念を通じて明らかにしたのです。
ヴェブレンの「産業的サボタージュ」という概念は、現代社会における、一部の企業による市場支配や、環境問題などを考える上で、重要な視点を提供してくれます。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。