## ヴィトゲンシュタインの論理哲学論考の関連著作
バートランド・ラッセル 「数学の原理」 (1910-1913)
ラッセルとホワイトヘッドによって書かれた「数学の原理」は、数学の基礎を論理学に還元することを試みた記念碑的な著作です。全3巻からなり、その中で集合論と数理論理学を用いて数学の定理を導出しようとしました。
ラッセルは「論理哲学論考」が出版される以前にヴィトゲンシュタインと親交があり、彼の論理学と哲学に多大な影響を与えました。「論理哲学論考」の中でヴィトゲンシュタインが展開した論理 atomism や picture theory of meaning は、ラッセルの論理学の影響を強く受けていると言えます。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン 「哲学探究」 (1953)
「哲学探究」は、「論理哲学論考」における自身の立場を批判的に検討し、新たな言語哲学を展開した後期ウィトゲンシュタインの主著です。言語ゲーム、規則と従うこと、家族的類似性といった概念を用いながら、言語の意味は論理構造ではなく、実際の使用における役割によって決定されると主張しました。
「論理哲学論考」では、世界の構造と論理構造は一致するという立場を取っていましたが、「哲学探究」では、言語は多様な活動の中で道具として使用され、その意味は文脈によって変化すると考えを改めました。
ゴットロープ・フレーゲ 「概念記法」 (1879)
「概念記法」は、ドイツの数学者であり論理学者であるゴットロープ・フレーゲによって書かれた、現代論理学の出発点となる重要な著作です。命題論理と述語論理を初めて体系的に展開し、量化記号や変項といった現代論理学の基本的な記号法を導入しました。
フレーゲの思想は、ラッセルを通じてヴィトゲンシュタインに間接的に影響を与えたと考えられています。「論理哲学論考」における論理の形式化と記号の使用は、フレーゲの論理学の影響を色濃く反映しています。