## ヴィトゲンシュタインの哲学探求に匹敵する本
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現象学の理念と現象学的還元
エトムント・フッサールの主著『現象学の理念と現象学的還元』は、20世紀の思想界に多大な影響を与えた現象学という哲学的潮流の基礎を築いた記念碑的作品です。本著でフッサールは、従来の哲学が陥っていた客観主義と主観主義の二元論を克服するために、意識とその対象との間の相関関係を重視する「現象学的還元」という方法を提唱しました。
フッサールは、意識は常に何かに対する意識であるという点に着目し、「意識への立ち帰り」によって、客観的な世界についての先入観や前提を排除し、事物が意識に現れる仕方そのものを記述しようとしました。この現象学的還元を通じて、フッサールは、意識の構造や本質を明らかにし、客観的な世界についての確実な基盤を築こうとしたのです。
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存在と時間
マルティン・ハイデガーの主著『存在と時間』は、20世紀の実存主義、解釈学、脱構築など、多岐にわたる思想潮流に影響を与えた哲学書です。本著でハイデガーは、西洋哲学史における「存在」の問題を、人間の存在である「現存在」の分析を通じて解明しようと試みました。
ハイデガーは、人間は世界の中に「投げ込まれた存在」であり、常に死に向かって存在しているという「不安」を抱えていると主張しました。そして、この不安を直視することによって、人間は自身の存在の意味や可能性について真摯に向き合うことができるとしました。ハイデガーは、人間存在の根本的なあり方を明らかにすることで、西洋形而上学の伝統に新たな光を当て、存在の意味を問い直そうとしたのです。