## ヴィゴツキーの思考と言語の構成
###
構成
ヴィゴツキーの主著『思考と言語』は、複雑な構成を持つことで知られています。原著は大きく分けて3つのパートから構成されています。
###
第1部:研究方法の問題
このパートでは、当時の心理学界で主流であった思考と言語の関係性に関する3つの主要な理論(行動主義、ヴュルツブルク学派、ゲゼル)を批判的に分析しています。そして、思考と言語の発生と発達を研究するための新たな方法論的枠組みを提示しています。
###
第2部:幼児期における思考と言語
このパートでは、乳児期から幼児期にかけての思考と言語の発達段階を詳細に分析しています。特に、自我中心語の役割と発達における意義を強調し、ピアジェの主張に反論しています。自我中心語は、子どもが自己中心的であることを示すのではなく、むしろ社会的相互作用から内面化された思考の道具として重要な役割を果たすと主張しています。
###
第3部:思春期における思考と言語
思春期における思考と言語の発達、特に概念形成のプロセスについて論じています。ここでは、日常生活における自発的概念と科学的概念の区別、そして教育における科学的概念の重要性を強調しています。また、内言が思考の道具としてより洗練されたものへと発達していく過程についても説明しています。
上記はあくまで原著における構成です。邦訳版では、版によって構成や訳注が異なっている場合があるので注意が必要です。